研究課題/領域番号 |
18K10928
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 久雄 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 教授 (30135967)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 身体活動 / e-Learning / 大学生 / 長期効果 |
研究実績の概要 |
身体活動は虚血性心疾患,高血圧,2型糖尿病,肺炎・肺がん,うつなどの疾病リスクを低減させることが知られているが,2012年の日本人の身体活動不足者は60.2%と報告されている。一方,アメリカスポーツ医学会はスポーツ活動の推奨だけでは身体活動習慣者は増えないと報告している。そこで,本学では体育授業においてe-Learningを活用し身体活動増進プログラム理論を学び,身体活動実践を課している。この身体活動増進プログラムは持久的運動,レジスタンストレーニング,ストレッチングの習慣化を目的として,理論学習後,自ら自分自身のためにプログラムを作成し,実践・記録を行うものである。本研究ではこの身体活動増進プログラムの短期効果(授業前後)と長期効果(1年後)を検証する。2018年に「するスポーツ演習」履修者(抽選当選者:介入群119名)と履修できなかった学生(抽選落選者:統制群63名)を対象に,授業前・後そして1年後に,活動量計を用いて身体活動量を測定するとともに,レジスタンストレーニング量(RT),ストレッチング量(St)を調査した。3回の調査を終了し,調査不備のなかった対象は介入群36名(分析対象率30%),統制群45名(分析対象率71%)であった。分析は介入前,介入後,介入1年後の各値について二元配置分散分析を行った。その結果,身体活動増進プログラムは介入前後では身体活動量,RT,Stのいずれもが有意に増加した。また,介入終了1年後において,介入群の身体活動量は統制群に比べると介入後の低下割合が少なく,維持できたといえた。介入終了1年後のRTとStは介入前の値と差がないほどに低下した。したがって,大学生を対象とした身体活動増進プログラムは,身体活動量は短期効果および長期効果があること,RTとStは短期効果のみがあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は測定調査,分析が終了し,報告書及び論文を作成しているところである。本身体活動増進プログラムは身体活動量の短期・長期増加傾向を認めたことから,身体活動の増進には有効なプログラムと考えられた。しかしながら,新型コロナウイルス感染症拡大により,オンライン授業等への対応によって研究時間が奪われ,成果発表もできない状況であり,最終報告書の作成に至らなかった。 一方,身体活動増進プログラムはオンライン教材として使用できることから,全国63大学に提供した。そのうち,使用した19大学,1,333名の学生からプログラム評価アンケートを行うことができた。その結果,総合評価平均得点3.8(5段階評価),満足度4.0と高評価を得た。また,本プログラムの目的である身体活動の習慣化に関しても5段階評価得点3.8であり,やや習慣化した,習慣化したと回答した学生は71.5%であった。したがって,身体活動増進プログラムは多くの大学でも使用することは可能と考えられ,オンライン授業における身体活動増進プログラムの汎用性が証明された。
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今後の研究の推進方策 |
申請した研究は本年10月までに学会にて成果発表および論文投稿を行い,ホームページに掲載する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の本科学研究費助成金額(直接経費)は45%が旅費であった。新型コロナウイルス感染症拡大に伴って成果発表(学会参加)ができず,やむなく次年度まで延長させていただいた。2021年度は学会参加発表と論文投稿を行うとともに報告書を作成し,ホームページに掲載する予定である。
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