研究実績の概要 |
本研究は社会的時差が睡眠覚醒周期に及ぼす影響および運動介入効果について検討することである。本年度は、実際に深夜交替制勤務を行なっている時差勤務者を対象に客観的睡眠指標および身体活動指標について検討を行った。 本研究への参加の同意が得られた深夜交替制勤務者に小型3軸加速度計(MTN-220)を1週間装着し、身体活動の指標として歩数を得た。また、睡眠覚醒リズム解析ソフト(SleepSignAct)を用いて客観的睡眠指標を求めた。なお、本研究における交替勤務は10:00-18:30と18:30-4:00であった。4日間以上のデータが得られた男性91名(男性、平均年齢40.4±9.9歳)について、3時間以上の睡眠を解析対象とした。 測定期間中の平均夜勤数は2.4±0.7回、客観的睡眠指標の平均値は総睡眠時間327±68分、入眠潜時18±12分、中途覚醒時間104±47分、睡眠効率72.2±9.3%であり、同一企業の昼勤務者16名(327±69分、13±8分、70±31分、78.6±8.7%)と比較すると中途覚時間が長く睡眠効率が低値であり十分な睡眠とは言えなかった。平均歩数は、7,497±2,306歩であり、一般成人男性平均値の約7,800歩とほぼ同値を示した。また、歩数は中途覚醒時間と有意な負の関連(r=0-.360、p<.01)を示し、睡眠効率とは有意な正の関連(r=0.220、p<.05)が認められた。 これらの結果から、深夜交替制勤務者においては身体活動が多いと中途覚醒時間が減少し、睡眠効率が向上すると考えられた。実際の時差勤務に対して身体活動が睡眠指標に好影響を及ぼす可能性が示唆された。
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