研究実績の概要 |
平日と休日の就寝・起床リズムのずれは社会的時差と呼ばれており、それが大きくなると時差症状、すなわち日中の眠気や疲労感が生じるとされている。本年度の本研究の目的は、大学生における社会的時差を明らかにすることと、社会的時差と身体活動の関連を検討することであった。 大学生女子41名(平均年齢20.5±1.2歳)を対象とし、その身体特性は、平均身長157.2±4.6cm、平均体重50.0±6.5kg、平均BMI 20.3±2.5kg/m2で喫煙者はいなかった。対象者に対し、ミュンヘンクロノタイプ質問紙日本語版を用いて社会的時差を調査した。また、小型3軸加速度計(MTN-220)の装着を3~4週間依頼し、解析ソフトSleep Sign Act(キッセイコムテック)を用いて身体活動の指標として歩数を得た。なお、本研究は兵庫県立大学看護学部研究倫理委員会の承認を得て実施した。 睡眠の中央時刻(睡眠開始と覚醒の中間の時刻)は、学校登校日(平日)3:59±0:40、休日5:17±0:52であり、休日の方が平日に比べ有意な後退を示した(t=13.9, p<0.001)。平日と休日の社会的時差は1:18±0:36であり、休日の覚醒後離床するまでの時間との間に有意な正の関連が認められた(r=0.376, p<0.05)。加速度計の装着忘れなどを除いた有効データ日数は20.0±6.2日であり、身体活動(歩数)の平均値は7,852±3,209歩を示した。歩数は、社会的時差と有意な負の相関関係が認められた(r=-0.530, p<0.01)。 以上の結果から、大学生女子において、社会的時差が小さいほど身体活動が多いことが示された。社会的時差が大きいほど休日の覚醒後離床時間が延長することからも、社会的時差を小さくすることが求められるが、身体活動の増加が社会的時差の低減に貢献する可能性が示唆された。
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