研究課題/領域番号 |
18K10932
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
竹内 成生 上武大学, ビジネス情報学部, 教授 (10329162)
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研究分担者 |
井田 博史 上武大学, ビジネス情報学部, 教授 (20392194)
関口 浩文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20392201)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抑鬱 / 網膜電図 / 事象関連電位 / 経頭蓋磁気刺激 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は人間の高次な行動である『予測-遂行-評価』に基づく高次脳機能連携について知覚入力と運動出力の関係性に着目し,健常者を対象とした抑鬱状態の変化から,その因果性を明らかにすることである.本研究手法の特色は,健常者を対象とした視覚刺激呈示下で経頭蓋刺激 (transcranial magnetic stimulation: TMS) をおこない,抑鬱の程度による知覚入力と運動出力とその遂行結果の変化から,高次脳機能連携の因果性の解明を目指す点である. 令和3年度は本研究遂行上,重要な検討項目である網膜電図 (electroretinogram: ERG) 測定下におけるTMSによる影響を精査するために,第1-2実験の実験系を一部見直し,データの追加取得とその解析を実施した.また第3実験は,昨年度同様に社会的状況から実施を見送り,既存実験系である第1-2実験に絞ることとした.実験系の一部見直しに伴って得られた結果と検討事項について,以下に概略を示す. これまでに取得した被験者27名を対象に解析を進めた.本研究ではTMSによる視覚処理系に影響を与えることを意図していたため,一次視覚野へのTMSが網膜応答性とコントラスト判断に与える影響を検討した.その結果,非利き目で認められた抑鬱の程度と網膜応答の関係性は経頭蓋磁気刺激によって阻害され,主観的判断にも影響を与えることが示された.これは抑鬱の程度に対応して網膜の応答性が変化することで,主観的判断を維持する補償機能を示唆している.しかしながら,網膜の応答性には抑鬱状態と個人差の両影響の関与が示唆され,個人差を考慮した検討が必要と考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度も昨年度に続き,社会的制約の影響から,一部の実験系について実施を見送らざるを得ない状況が続いた.昨年度から続くこの状況を受け,既存実験系の精度と信頼性向上が最優先事項であると判断し,これまでに取得したデータに関する詳細な解析結果を令和2年度に実施した.その結果を受けて令和2年度後半から令和3年度は,第1-2実験の一部見直しとそれに伴うデータ取得を実施した.現状の進捗状況から判断すると,計画に遅れは生じているものの,実験系の見直しによって検討すべき点が明確化したといえる.
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今後の研究の推進方策 |
直近の社会状況をみると注意すべき事項が残されるものの,実験における制約は解消されつつある.したがって,これまで得たデータの分析を進めると同時に,追加実験と第3実験については研究分担者や同領域の研究者と議論を行いながら,推進していくこととする.また,直近2年間での詳細検討と実験系の見直しによって,得られた知見と検討事項を踏まえ,慎重かつ柔軟に対応していくものとする.そして,本研究のゴールである抑鬱程度による知覚入力と運動出力と遂行結果の変化から高次脳機能連携の因果性の解明を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度も昨年度に続き,社会的状況に大きな変化が無かったため,第3実験の実施を見送らざるを得なかった.この状況を受け,第1-2実験の信頼性を優先し,実験系の見直しと追加実験を実施した.また,今年度も学会発表はオンライン開催となった.このため,第3実験に必要な器具・機材,謝金,および旅費などの支出が予定額を下回ったことが主な原因である. (使用計画)実験に必要な器具・機材,消耗品ならびに被験者謝金,論文校正と印刷に関わる予算を計上する.また,学会に参加に伴う予算などは状況に応じてオンライン/現地開催など流動的であるため,これ以外については最終年度の計画に準じるものとする.
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