研究課題/領域番号 |
18K10944
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
稲垣 良介 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (20583058)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 水難事故 / 未然防止 / 危機管理 / 学習プログラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、水難事故の防止に資する危機管理能力の育成を企図した学習プログラムを開発することである。本年度公表した主な研究成果は、下記の通りであった。 ①水泳の心得の指導を受けた経験に関する調査研究―大学生を対象にして―(査読付研究誌「体育科教育学研究」34巻2号,pp17-25,2018) 本研究(18K10944)は、小学校、中学校、高等学校期における水泳の事故防止に関する心得に着目し、各学齢期における水泳の事故防止に関する指導を受けた経験について調査した。F大学の1年生80人を対象に実施した。調査内容は、水泳の事項防止に関わる心得等に関する28項目(岩崎,2015)であった。項目毎に回答の度数を集計し、学齢別、水泳授業の有無別にχ2検定を行った。学齢期別に見た指導を受けた経験の有無の結果から、各学齢期における指導内容を明確にするとともに、自然水域に対応する指導内容の充実を図る必要があることが示唆された。また、水泳授業の有無別に見た指導を受けた経験の有無の結果から、特に水泳授業のない学校において指導の充実を図る必要があることが示唆された。 ②着衣泳の実践授業が児童のプール及び川への認知に及ぼす影響(査読付研究誌「日本教育工学会論文誌」42,pp113-116,2018) 本研究(18K10944)は、本研究は水難事故防止教育の一環として小学校4年生の体育の授業において学校プールでの着衣泳の実践授業を企画・実践し、着衣泳の実践授業が子どもたちの内面にどのように影響するのかを明らかにした。実践の効果として子どもたちの川・プールへの認知の変化を分析対象とし、実践前・実践後・遅延(50日後)の3時点間での子どもたちの認知の変化を検討した。分析の結果、子どもたちの川・プールへの認知は大きく6つに分類可能であることが明らかとなった。また学校プールでの着衣泳の実践がプールへの認知のみならず川への認知にも影響を及ぼしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに研究が進展している理由として、上記の研究実績の他に、次の二点が挙げられる。①水難事故の防止に資する危機管理能力の育成を企図した学習プログラムを開発するため、中学校において地域河川を利用して水難事故防止学習を実施し、習効果測定を実施したこと。②山間部・沿岸部・都市部の児童に対して、水辺活動の実態を調査したこと。なお、収集した資料等は、現在分析中であり、平成31年度日本体育学会他で研究発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は下記の通りである。 ①水泳学習における「心得」の学習内容に着目し、実態調査及び文献調査を継続して実施する。 ②着衣泳及び地域河川を利用した水難事故防止学習に関連して、学習効果測定に基づき、より有効なプログラムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題の進捗状況は、概ね順調である。次年度使用額が生じた主たる理由は、購入予定であった機材の一部について、研究協力者及び協力機関が所有しており使用することができたため、購入を見送ったことによる。令和元年度は、平成30年度に実施した学習効果測定の結果と実態調査を踏まえ、着衣泳及び地域河川を利用した水難事故防止学習の事後指導、「心得」に関する教育内容について、教育現場と共同してプログラム開発、実施、改善を進める。そのため、機材(救命胴衣等)、運搬費用、実践及び調査に要する旅費、謝金等に充てる予定である。
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