研究課題/領域番号 |
18K10946
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
星川 佳広 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60394095)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジュニアスポーツ / 発育発達 / 測定評価 / 縦断分析 / 疾走能力 / 歩幅 |
研究実績の概要 |
平成30年度(研究事業1年目)は、1団体に対して測定2回(4月、11月)を実施した。その結果、前科研費研究課題「思春期男子におけるスプリント加速能力の発達とトレーナビリティ」(課題番号26350759)からとあわせ、中学1年(以下、中1)から中3にかけて2年間の身長成長と疾走タイム変化を縦断的に追跡できた被験者が49名になった。この49名のうち研究代表者の先行研究(星川,2012)に示された基準値を参考に、中1時点で疾走能力の高かった14名を抽出し、その後の分析を行った。 14名のうち2年後(中3時点)においてさらに大きなタイム短縮(-0.18秒)を達成し高い疾走能力を維持した4名(A群)と、タイム短縮(-0.06秒)はしたものの相対的に疾走能力を低下させた4名(B群)を比較することで、思春期において高い疾走能力を維持する群の形態変化、キネマティクス(ステップ長、ピッチ、接地時間など)変化の特徴をまとめた。 その主な結果は、①身長変化は両群に差異ないがA群の方が体重、除脂肪量の増加が大きく、②両群ともに6歩目までは身長成長にもかかわらずステップ長に変化ない一方で、ピッチについてはA群のみがスタート直後から大きくあげることができるようになっていたことであった。これらについては第31回日本トレーニング科学会大会にて発表した。 この他に、ほぼ身長成長が終了したと考えられる一般高校生男子78名について同様の測定を実施した。その疾走タイムとキネティクスは、今後、対照群のデータとして比較使用ができるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の所属が平成31年度4月より東海学園大学から日本女子体育大学に変わり、引き継ぎ、引っ越し等の業務に忙殺され、平成30年度(研究事業1年目)は測定と一部の分析を行ったのみにとどまり、計画より遅れている。 研究計画段階では、毎年度春(4月)、秋(10月)と約半年ごとの測定(縦断追跡)を実施することと並行し、研究事業1年目には、研究代表者の前科研費研究課題「思春期男子におけるスプリント加速能力の発達とトレーナビリティ」(課題番号26350759)のデータを構造的に整理しなおし、加速能力評価システムの試案を作成(半年ごとの身長成長とスプリントタイム改善の目安の提示)することを予定していた。 しかし、平成30年度には春・秋の2回の測定の実施と基本的なデータ分析は進んだものの、本研究の主目的である先行データに基づく身長成長を考慮した加速能力評価システムの試案作成が全く進められなかった。さらには、研究事業2年目春(4月)の測定が多忙により実施することができず、半年ごとのデータが欠落した。 今後は秋(10月)の測定を実施することと、その前年度10月からの1年分の身長成長からタイム変化を予測したうえでステップタイプ別(ステップ長型、ピッチ型)に評価できるようにする加速能力評価システムの試案作成を進める。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究のデータを構造的に整理しなおし、中1時点の疾走能力の初期値とその後の身長成長を勘案したうえでの20m走タイムの適切な目標設定を考案するために、研究計画時に考えていたスタートから7歩目(あるいは他のより良い歩数)に到達すべき距離とタイムによる指標の妥当性を検証する。この検証においてはまずは横断的に検討し、その後に縦断的測定が実施できた被験者において検討する。可能ならば、この検討において各被検者のステップタイプ(ステップ長型、ピッチ型)の違いの影響の有無にについて確認する。 さらに、小学生時の身長変化が得られる被検者については、中1時点の成熟度を求めたうえで、疾走能力別にその後の2年間で生じた身長成長と20m走タイム変化、20m走中のキネティクス変化(ステップ長、ピッチ、接地時間等)についておおよそまとめる。これは加速能力評価システム作成の基本データとなる。 ただし、現時点では能力別の縦断的検証に耐えるだけの被験者数が各能力別に揃えられていない。特に、疾走能力が高い群において縦断的に追跡できている被験者数が十分でない。そこで、従来測定してきた団体については秋の測定は継続して行う一方、測定を受け入れるチーム・団体の新たな開拓も必要となる、と考えている。
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