研究課題/領域番号 |
18K10947
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研究機関 | 京都学園大学 |
研究代表者 |
青木 好子 京都学園大学, 健康医療学部, 准教授 (20555669)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 幼児 / 認知機能 / 体力 / 身体活動量 / 生活習慣 |
研究実績の概要 |
都市部住宅地に立地する幼稚園に在籍する5歳児(52名)を対象に7種目の体力測定(25m走,立ち幅跳び,テニスボール投げ,両足連続跳び越し,体支持持続時間,捕球,握力)および実行機能を評価する3種類(抑制機能-白黒課題、DCCS課題-認知的柔軟性、ブロック再生課題-ワーキングメモリ)の課題を実施し,実行機能と体力との関係を検討した.その結果、男児では両足連続跳び越しと白黒課題の反応時間との間,体支持持続時間とブロック再生課題得点との間に正の関係が認められた.女児ではテニスボール投げと白黒課題の反応時間との間に負の関係,握力とブロック再生課題得点との間に正の関係が認められた.以上のこのことから,性別によって実行機能に関係する体力の要素が異なることが示唆された. さらに、抑制機能の課題をフランカー課題に変更し、都市部住宅地に立地する他の幼稚園に在籍する5歳児(38人)の認知機能と体力との関係を検討した。体力と実行機能それぞれに対し相関係数および回帰係数を算出した。重回帰分析の結果、フランカー課題では、男児は両足跳びと反応時間との間に有意な回帰係数が認められ、DCCS課題では、男児は握力、女児は体支持持続時間と反応時間との間に有意な回帰係数が認められ、ブロック再生課題では、女児は捕球と再生数との間に有意な回帰係数が認められた。以上より、実行機能に関係する体力の項目は、男児と女児で異なり、特に、認知的柔軟性は抑制機能は男児、作業記憶は女児に有意な回帰係数が認められた。これは、男児と女児において認知的柔軟性を働かせる背景にある行動や運動が異なることを意味している。本研究では、重回帰分析を行なったもののモデルの予測値には、性差に関わらずどの実行機能においても1種目しか選ばれなかった。したがって、幼児期の実行機能の発達に影響する体力の種目が限定されている可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【平成30年度の計画】では、「DLW法と活動量計による身体活動量評価」:幼児20名を対象に、DLW法による身体活動量調査を行う。また、国際的にスタンダートとなっているActive style Pro GT3X(アクチグラフ社製)を装着し、DLW法による身体活動量調査を行うことで、これら装置の妥当性の検証とこれらの機器の整合性の検証を行い、国際的な比較ができるようにすることを計画していたが、対象園の都合により、計画を延期したことが理由である。「認知機能と身体活動量・体力、生活運動習慣の調査」については、4・5歳児を対象として計画通りに実施し、分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
【平成30年度の計画】であった「DLW法と活動量計による身体活動量評価」について、対象幼児と保護者に理解を得て対象を確定し、必要な物品を揃えて調査を進める。 「認知機能と身体活動量・体力、生活運動習慣の調査」は、さらに対象園の地域を広げて調査・分析を進める。さらに、研究連携者と幼児向けのプログラムについて検討に入る。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の計画では、「 DLW法と活動量計による身体活動量評価」において、幼児20名を対象に、DLW法による身体活動量調査を行う。また、国際的にスタンダートとなっているActive style Pro GT3X(アクチグラフ社製)を装着し、DLW法による身体活動量調査を行うことで、これら装置の妥当性の検証とこれらの機器の整合性の検証を行い、国際的な比較ができるようにするという計画であったが、協力園において対象幼児が確定できなかったため、本調査に関連する機器の購入を延期したことが主な理由である。今後、対象幼児を確定し、必要物品を購入して調査、分析を進める。 また、「認知機能と身体活動量・体力、生活運動習慣の調査」については、対象園をさらに増やし、異なる地域の幼児の実態を把握し、その関連性について検討を進める。
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