COVID-19感染予防対策のため、就学前施設での調査が不可能となり、対象を小学生6年生とした。緊急事態宣言発出、外出自粛要請および2ヶ月半にわたる学校休校措置が、発育発達期の子どもにどう影響するかが懸念される。 本研究では、感染症流行時における小学6年生の児童の身体活動量や実行機能の実態を明らかにすることを目的とした。本原稿では、COVID-19感染症拡大防止のための緊急事態宣言および学校休校措置の解除直後、新しい生活様式を強いられることになった児童の身体活動量や認知的機能がどのように変化するのか、3週間にわたって調査した結果を、学校再開後のウォーミングアップ期間の隔日登校の1週目の家庭学習日と午前中短縮授業日、2週目、3週目の体育授業の有無等、また平日・休日の実態を明らかにした。 緊急事態宣言解除後、学校再開後3週間の児童において、歩数や身体活動レベル、中高強度活動時間などの身体活動量は次第に増加し、3週目の平均歩数は小学生の基準歩数13000歩に達していたことが明らかになった。歩数低群と高群で比較すると身体活動量の差が顕著であった。また、家庭学習日には身体活動量が歩数49.4%、中高強度活動時間64.3%に減少していた。認知的実行機能については3週間で有意な差は認められなかったが、正答率は2年生の平常時より低値であったことが明らかになった。また、新しい生活様式においては、特に学校での体育の授業の活用の仕方が身体活動量を増加させることができる重要なポイントとなり得ることが示唆された。 歩数や中高強度活動時間は、家庭学習日には約50%にまで減少すること、学校の授業が平常にもどるとほぼ平常時の値にまで回復することが明らかになった。学校休業日には、家庭で実践できる運動プログラムを提供するなど、発達期の児童が活動不足に陥ることを防止する対策を講じる必要があることが示唆された。
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