研究課題/領域番号 |
18K10949
|
研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
冷水 誠 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (40388905)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 運動学習 / グループ / 自己効力感 |
研究実績の概要 |
平成30年度では健常成人を対象として,運動学習における個人および対人関係をふまえた3名によるグループ練習効果を検証するために以下の3つの研究を実施し,グループ練習の効果とその影響する要因についての知見を得た。 まず,グループ練習効果に影響を及ぼす要因として,個人の自己効力感が運動学習に与える影響について検証した。具体的には,上肢運動学習課題において,自己効力感を高める実験対象者自ら選択した練習条件と,実験者から指定された練習条件の2群においてその学習成績と練習への積極的関与を比較した。その結果,男性では学習成績および積極的関与について有意な差は認められなかったものの,女性では自ら選択した練習条件において有意な学習効果と積極的関与を認めた。 次に,運動学習におけるグループ練習効果の影響を身体接触の有無を加えて検証した。具体的には,手指功緻動作学習課題に3人組練習に取り組む際,実験群として各グループ内対象者同士にて握手による身体接触を加えた群を設け,その課題成績およびグループ内の親密度変化を検証した。その結果,グループ練習の際の身体接触の有無には性別差がみられ,女性同士グループでは身体接触の有無により学習成績および親密度には差が認められなかったのに対し,男性同士グループでは身体接触によりいずれも有意な上昇が認められた。 さらに,課題に取り組む際の効果的なグループ構成人数を検証した。発想が求められる解決型認知課題に個人・2人組・3人組の3群にて取り組むことによる課題成績および実験対象者の実施中の会話量と楽しさ(自覚的)を比較した。その結果,課題成績に顕著な差が認められなかったものの,課題中の会話量および課題終了時点での自覚的楽しさでは3人組において高い値を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度においては,グループ練習による学習効果をグループ内の対象者同士の親密度として身体接触の有無および会話量の変化からその効果を検証することができた。また,取り組むグループ構成人数に関して課題成績だけでなく,対象者の心理面の変化からも一定の知見を得ることができた。しかしながら,当初計画としては,親密度および精神心理行動変化として視線変化(アイコンタクト)を計測してその学習効果および親密度の差を検証することを計画していた。しかしながら,学習課題中の視線変化を計測するシステム整備に関して,予算的問題から計測する段階に到達できておらず,十分な検証に至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度では視線変化の計測システムを当初の予定から変更し,予算内で構築可能な方法(機器)を検討し,そのシステムを用いて健常成人を対象として,学習課題におけるグループ練習効果を対象者の視線変化からも検証する。さらに,グループ構成において会話量・表情・視線の変化を意図的に操作した群を設け,その学習効果および親密度の変化を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究にて計画していた視線変化計測システムについて,計画申請時点における請求額と実際の助成金額とに差が大きく,計画を変更する必要が生じた。従って,次年度においはその予算内にて構築可能な視線変化計測システムを整備するために使用する。
|