小学校「攻守一体タイプ」ボールゲーム授業におけるゲームパフォーマンス評価法の開発

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K10962
• 研究機関: 島根大学
• 研究代表者: 西村 覚 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (50237723)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 小学校体育 / 攻守一体 / テニス型 / GPAI

研究実績の概要

本研究の目的は、小学校と中学校の発達段階に応じた技能の系統性に着目した形での「攻守一体タイプ」の教材開発とその有効性を明らかにすることである。方法としては、児童の関連する技能の発達の調査。カリキュラム作成と評価法の開発に焦点をあてている。
これまで攻守一体型教材に於ける児童徒の技能発達の実態把握から取り組んだ。攻守一体プレイタイプのネット型ゲーム授業実践及び、民間のテニススクールや小学生を対象とする体験教室、テニス教室の学習状況を観察記録し小学校年代の攻守一体プレイタイプとして特にハンドラケット・ダンボールラケット使用した「テニピン」教材を中心に各種技能に関する基礎データを収集した。
さらに、前年度評価プログラムに関する調査結果をもとに、GPAIによるゲームの分析方法を参考として、攻守一体プレイタイプのゲームパフォーマンスの構成要素とその定義に基づいて検討を進め、ベース、調整、意思決定、技能発揮の4要素にゲームの構成要素を整理し、作成した評価項目と評価基準の授業場面での活用を進めた。
攻守一体プレイタイプの種目としての「テニピン」授業におけるゲーム中の児童の動きの記録しベース、調整、意思決定、技能発揮4要素からの技能評価をおこないその有効性について検討を進めた。合わせて、シングルス形式の授業と、ダブルス形式の授業における、技能評価を行うことで、教材開発への指針をあきらかにした。
さらに、教材開発の指針に基づきシングルス形式とダブルス形式の配列の影響について検討をすすめた技能の要素による影響の違いについてあきらかにした。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は研究課題である国内外の指導場面でのゲームパフォーマンスに関する調査は、新型コロナウィルス感染症により、引き続き規模を縮小せざるを得なかったが、国内の授業実践は増加が見られ現場での直接的案調査には制限があったが映像による調査の実施おこなう事ができた。記録を分析する中で昨年までに作成したGPAIに基づく評価基準の有効性についてさらに検討を進めることができた。その一方で、国外における調査は実施できなかった。
「テニピン」授業は児童のマネジメント、運動量の確保等の観点からダブルス形式で行われているが、シングルス形式の授業との比較から、攻守一体ネット型ゲームの教材開発における示唆を得ることができた。チームで実施する連携タイプの教材の開発及び教材の配列を検討する上での有益な知見を得ることができた。
しかしながら、研究成果を社会に広く発信する予定であった各学会が中止になり十分な発表の機会を得られなかったことから「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

2022年度(5年目)は、本研究の成果についてテニス・体育関連学会での発表や論文投稿を通じて広く社会発信を中心にすすめていく予定である。さらに、攻守一体及び連携タイプボールゲーム・球技のカリキュラムの検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

実施予定であった国内調査は実施することができた。その一方で昨年同様に国外の調査及び研究成果の発表が新型コロナウィルス感染症の影響による渡航制限から中止せざるを得なかったことが理由である。
2022年度は、学会発表や論文投稿など、成果発表に予算を執行するとともに、これまでに得られた資料の整理やデータ入力の謝金としても執行する予定である。また、昨年度に実施予定であった国外の実践事例に関する訪問調査を、状況を注視しながら実施を検討し計画的に執行する予定であるが、実施が不可の場合はデータ分析機器の購入を検討する予定である。