小学校の「攻守一体タイプ」の有効性を明らかにする目的で、児童の技能の発達の調査及びカリキュラム検討と評価法の開発を試みた. 攻守一体プレイタイプのネット型ゲーム「テニピン」の授業実践を観察記録し児童の各種技能に関する基礎データを収集した.発育段階と技能の発達、特にボールコントロール技能の学年に応じた発達の過程を分析した。合わせて先行実践事例を検討し、今回の学習指導要領改定に於ける攻守一体タイプの位置づけや、教材開発にあたって留意すべき視点について検討を試みた。ミニラケットとハンドラケット(ダンボールラケット)の用具の違いによる期待される学習内容との違い、ネット型ゲームに主要な局面として出現する「ラリー」の捉え方と単元計画の作成の方向性について明らかにした.検討の結果については「これからのネット型ゲーム」における「指導計画作成のポイント」としてまとめ報告した。 評価法の開発は, GPAIによる方法を基礎として攻守一体プレイタイプの構成要素とその定義に関する検討を進めた。先行研究に基づき「ベース」、「調整」、「意思決定」、「技能発揮」の4要素から「テニピン」のゲームパフォーマンス構成要素を再検討し、評価項目と基準の作成をした.小学校中学年のゲーム場面映像の評価を通して精査し,技能発揮2要素(ボール操作・持たない動き)とそれぞれにおける戦術判断(意思決定の有無)の4項目の評価基準を作成した.作成した評価基準を用いてテニスを専門とする者とその他の評価者により個別にゲームを評価し結果を比較した.技能発揮については,高い一致率からその有効性が明らかとなった.しかし戦術判断については十分な一致率が見られなかった.攻守一体タイプのゲーム場面における戦術判断(意思決定)の評価にはさらなる検討が必要であることが示唆された.
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