研究課題/領域番号 |
18K10967
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研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
永山 貴洋 石巻専修大学, 人間学部, 准教授 (20451502)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 適応的熟達化 / 身体技能 / 信念 / 創造性 / コーチングモデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,スポーツ領域における適応的熟達化について創造性と信念の視点から検討し,身体技能創造に向けた選手の探索を促すコーチングモデルを構築することである。今年度は,身体技能創造の過程で試行錯誤する選手の信念を明らかにすることを目的として,熟達過程にある大学野球選手を対象に深層的・半構造的インタビュー及び再生刺激法による調査を実施した。 インタビューデータを分析した結果,投球動作創造過程における選手の信念を示す主な概念として,「普遍的な動作への志向」,「指導者への従属的な意識」,「感覚に基づく協同的な創造」,「決定が受容される関係」,「指標と感覚への回帰」,「自律的な探索への志向」が形成された。本研究の対象者は,野球を始めた当初は,指導者への従属意識が強く,普遍的な正解としての教科書的な投球動作を目指しながら,練習をしていた。しかし,自主的な探索を受け入れる指導者と出会い,自分の体に合った投球動作を選択し,自身の動作感覚をもとに指導者と協同的に動作を構築するようになっていた。大学生になった後は,複数の指導者から指導を受ける機会があるものの,自身の投球動作を遂行する指標と感覚を重視しながら投球動作を創造していた。 選手の決定を受容し,選手自身の探索を促す指導者との出会いにより,認識的信念が変容していたことから,独自性のある動作の創造には,選手の自主的な探索を受容する指導者の存在が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は,対象者と対面での調査が不可欠である。対面での調査が実施できない状況であることから,計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は,研究計画に従い調査を実施するとともに,研究成果を総括して身体技能創造に向けた選手の探索を促すコーチングモデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より調査がやや遅れているため次年度使用額が生じた。研究計画に従い,調査協力者への謝金等の人件費として使用する計画である。
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