研究実績の概要 |
本研究の目的は,継続的な有酸素性運動に伴う認知-運動制御機能の効果が,①どのような運動強度や快適感情でもたらされるのか,②全身持久性体力との関連性がどうなっているのかについて,反応時間,事象関連脳電位,ストレス指標(唾液アミラーゼ),快適感情尺度を用いてその機序を明らかにすることである。初年度は,認知-運動制御機能を一過性に活性化させる有酸素性運動の強度・様式を明らかにすることであった。対象者は健常成人 12 名(男性9名,女性3名)であった。有酸素性運動は自転車エルゴメーター(232CXL, Combi)による自転車漕ぎを用いた。この運動課題の強度を設定するために (1) 最大酸素摂取量の測定,(2) 運動課題の強度設定(①高強度インターバル,②中等強度)を実施した。運動中の呼気ガス(O2,CO2)は,呼気ガス分析器(VO2000, S&ME)を用いてブレス・バイ・ブレス法で計測した。心拍数の計測には心拍モニタ(RS400, Polar)を用いた。(1) 最大酸素摂取量の測定は,多段階漸増負荷(男性, 25W/min;女性, 20W/min)を用いた。その結果,男性 50.0±4.2 mL/kg/min,女性 42.6±3.4 mL/kg/minであった。(2) ①高強度インターバルの運動強度は,高強度(85% 最大出力パワー)90秒,低強度(50W)60秒の運動を4セット繰り返すものが妥当であることがわかった。高強度の出力パワー,心拍数は男性 220±22 W, 179±15 bpm;女性 167±15W, 174±11 bpm であった。②中等強度の強度設定は,最大出力パワーの60%近辺を採用した。運動開始 2-3 分後に酸素摂取量,心拍数が定常状態になる出力パワーを設定した。これらの結果より,有酸素性運動の高強度インターバル,中等強度のプロトロールが決定された。
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