研究実績の概要 |
本研究の目的は,継続的な有酸素性運動に伴う認知-運動制御機能の効果が,①どのような運動強度や快適感情でもたらされるのか,②全身持久性体力との関連性がどうなっているのかについて,反応時間,事象関連脳電位,ストレス指標(唾液アミラーゼ),快適感情尺度を用いてその機序を明らかにすることである。対象者は健常な学生 12 名であった。そこから高強度インターバル(HIT)群6名,中等強度(MCT)群6名に無作為にグループ分けを行った。運動課題は,高強度インターバル走(90%HRmax, 90 s 高強度 + 60 s 低強度を4セット),または,30 分間の中等強度ジョギング(75% HRmax)を週3回3ヶ月間実施させた。介入前後に,VO2max,左右選択 Go/NoGo 反応課題を実施し,反応課題遂行中の脳波を Fz,Cz,Pz より記録し,事象関連電位 P3 を計測した。VO2max は,HIT 群で有意に低下したが,MCT 群は有意な向上を示した。反応時間は,両群とも運動介入後に有意に早くなることが認められ(HIT 群:270, 258 ms;MCT 群:282, 274 ms)。,MCT 群の方が一過性の向上効果が大きかった(pre:287, 277 ms;post:279, 268 ms)。Go-P3 振幅は両群で運動介入後に増大することが認められ,有酸素性運動に対する一過性のセンシティビティについては MCT 群の方が大きくなる傾向であった。30 分間の中等強度運動は,脳の実行機能の慢性的な改善に最も効率的であることが示唆された。
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