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2020 年度 実施状況報告書

幕末期における為政者の武芸実践および武芸政策にみる武芸思想に関する文献学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K10979
研究機関常葉大学

研究代表者

菊本 智之  常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (70267847)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード幕末 / 起倒流組討 / 寺田市右衛門 / 真田幸貫 / 為政者
研究実績の概要

令和2年度については、コロナ感染症拡大防止の観点から、当初、計画、予定されていた研究調査、史料閲覧、史料蒐集、史料整理、史料内容の検討および分析、研究打ち合わせなどが実施できなかった。よって、平成30年、令和元年に分析、検討してきた文献、史料について日本武道学会第53回大会にて発表を行った。
日本武道学会では、「『起倒流組討一相之傳』にみる起倒流組討の兵法観に関する一考察」という演題で発表を行った。『起倒流組討一相之傳』自体は、徳川吉宗治世の江戸時代中期に寺田市右衛門正栄の手によって作成されたものであるが、近世後期から末期にかけて幕府老中、松代藩主として手腕を揮った真田幸貫が実父・松平定信から受け継いだ起倒流柔道「神武の道」と甲乙流に加えて、敢えて寺田市右衛門系の起倒流を研究した背景やそこに見出した兵法観などについて検討を加えることで、幕末期へと引き継がれた為政者・真田幸貫の武芸思想や武芸観、兵法観を明らかにする一助とすることを目的とした。
『起倒流組討一相之傳』には、具体的な技法に関する記述は見られず、兵法、剣術などを含めた近世初期の兵法観とともに、戦のない安定した武士政権の中での武士の役割を果たすための内容を中心とする近世中期の士道論に近づく兵法観も混在して見られた。近世後期から幕末に向けて幕政に立った真田幸貫は、起倒流組討研究を通して、流儀、技法の背景にある思想的なものを自ら修行する起倒流柔道の中で探究し、自らの為政者としての政治的思想の根拠とするべく寺田市右衛門一門の伝書研究を行っていたことが窺えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

令和2年度については、コロナ感染症拡大防止の観点から、当初、計画、予定されていた研究調査、史料閲覧、史料蒐集、史料整理、史料内容の検討および分析、研究打ち合わせなどが実施できなかった。度重なる緊急事態宣言の発出や本務の状況から、県を跨ぐような史料調査、研究の打ち合わせなど、現地に赴く調査、研究の計画も大幅に制限されている。これらの状況が重なり、予定していた研究計画についても大幅な遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルス感染症の収束状況、緊急事態宣言発出の状況、解除の状況、まん延防止等重点措置の状況にもよるが、令和2年度を通して、社会的な通信環境や遠隔リモートによる対応方法などが、かなり改善された。それによって、新たな研究環境の整備を進める必要が出てきたが、これを整備することによって、研究室や出張を伴う調査研究を補う研究方法が工夫、改善されると思う。研究計画の遅れを取り戻すために、現研究環境の中で効率よく史料蒐集、解読、分析、整理ができるようにしていきたい。新たなパソコンの整備や通信環境の改善は、令和2年度には行えなかったので、令和3年度の早期に研究環境を整え、研究を推進していきたい。

次年度使用額が生じた理由

前年度より繰り越した金額に加え、令和2年度の研究が新型コロナウィルス感染症拡大の影響から、多くの研究内容について進めることが難しくなり、当初、支出するはずであった出張に係る旅費、研究環境の整備のためのパソコンなどの購入予定が実施できなかったことなどから、多くの残金が生じている。
新型コロナウィルス感染症拡大防止の対応などは、社会的にも徐々に対応策が打ち出されてきているところであるが、研究代表者として所期の研究計画が実施できるように、新たな研究体制を整え、遅れている調査研究を再開し、研究の推進を図る予定である。
まずは、早急に研究環境の改善とインフラ整備を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 『起倒流組討一相之傳』にみる起倒流組討の兵法観に関する一考察2020

    • 著者名/発表者名
      菊本 智之
    • 学会等名
      日本武道学会 第53回大会

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公開日: 2021-12-27  

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