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2018 年度 実施状況報告書

赤核を中心とした複数の運動モジュールの適応的制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 18K10984
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

大屋 知徹  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 モデル動物開発研究部, 室長 (30552468)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード協調運動 / 赤核 / 電気生理
研究実績の概要

身体の協調運動の神経機構を明らかにすることは、健常時の運動学習の仕組みの理解を促進するだけでなく、身体損傷後の再適応機構に関する包括的な原理の解明に不可欠である。協調運動の理解のカギは出力としての筋のまとまりがどの程度、どのように適切なタイミングで動員されるかを明らかにすることにある。この問題に取り組むため、覚醒行動下でのマカクサルを用いて、筋の協調構造が動的に変化する状況を作り出すことで筋間協調の再適応過程を観察し、その過程に重要と推測される中脳に位置する小細胞性赤核に焦点を当て、筋間協調の原理を明らかにすることを目指している。本研究により複数の筋間モの再適応に関わる神経機構が明らかになれば、身体運動の協調性を支える神経基盤の理解だけでなく、小細胞性赤核へ出力する小脳歯状核の情報処理の仕組みの一端が明らかになることが期待され、小脳の情報処理の原理理解への手がかりとしても重要な意味をもつ。
この課題において把持ー挙上の行動課題をマカクサルに課し、予測できないタイミングでその物体の負荷(粘弾性)を変えた状況を作り出すことで、筋間協調の変化、再適応、予測制御の成分を評価可能にする行動実験を確立することに従事した。2頭のマカクサルに対してオペラント条件づけを利用することにより単純な物体へのタッチから物体把持、精密把持へとシェービングした。現在は異なる負荷の物体の提示し、訓練を継続している。またこれに並行して同動物に対してステレオ座標下でのMRI、CTを撮像した後、頭部固定器具、筋間協調の評価のため上肢筋へ網羅的に筋電活動記録のための電極埋入術を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2頭のマカクサルの行動課題への馴化・訓練を行った。ペレットやフルーツジュースなどを報酬として用いるオペラント条件づけを利用することにより、単純な物体へのタッチから把持運動、異なる負荷での把持ー挙上運動への習熟、と段階を踏んで訓練をおこなった。異なる把持負荷に関しては力覚提示装置を自作し、現在把持負荷の変更に対し再適応できるように訓練を行っている。並行して同動物に対してステレオ座標下でのMRI、CTを撮像した後、頭部固定器具、筋間協調の評価のため上肢筋へ網羅的に筋電活動記録のための電極埋入術を行った。

今後の研究の推進方策

訓練が完了したマカクサルに対し、再適応時に筋間の協調が変化、再適応しているかついて、筋活動を筋シナジー解析によって評価する。その後、行動実験遂行中の動物に対して薬理的介入を行い、適応の評価を行う。GABA作動薬であるmuscimolを小細胞性赤核に局所投与し、十分時間が経過した後(~30分)に把持ー挙上運動課題遂行中に動物が予測しないタイミングで負荷を切り替え、把握運動の予測成分の再適応の可否を観察する。並行してマカクサルが同様の課題を遂行中に小細胞性赤核の神経活動を電気生理学的手法により細胞外記録を行い、再適応時に活動の変化を示す神経細胞の有無、活動の様式を検証する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は動物に対して把持負荷を可変にした状況で課題を遂行させるための力覚提示装置の購入を予定していたが、試作のために自作した装置で対応できているため、パッケージとなっている高額機器を購入せずに済んでいる。その分を次年度に繰越し、状況に応じて力学提示装置の購入か、より多数の神経活動を記録するための電気生理装置の購入に充てる計画をしている。

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公開日: 2019-12-27  

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