研究課題/領域番号 |
18K10985
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構東京病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
岡 笑美 独立行政法人国立病院機構東京病院(臨床研究部), 臨床研究部, 研究員 (60744191)
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研究分担者 |
古川 宏 独立行政法人国立病院機構東京病院(臨床研究部), 臨床研究部, 部長 (00372293)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / メタボローム / メトトレキサート / 病因・病態 / 腸上皮傷害 |
研究実績の概要 |
食餌・肥満が薬物動態に影響を及ぼしている可能性は古くから指摘されているが、十分な検証は行われておらず、食餌・肥満による腸内細菌叢の変化がその代謝 産物を介して薬物動態に影響を与え、有害事象発症に関与している可能性が疑われている。これまでの動物実験で、高脂肪食給餌とバンコマイシン経口投与が抗 リウマチ薬メトトレキサートによる消化管傷害を増悪させ、大豆由来蛋白質給餌とω-3脂肪酸経口投与が軽減させるが、肥満は影響を与えないことを確認した。 そこでこの研究では、次世代シークエンサーで腸内細菌叢を解析すると同時にメタボローム解析を行うことで、メトトレキサートによる薬剤誘発性消化管傷害を 防ぐ腸内細菌群と代謝産物を探索・決定する。 メトトレキサートの消化管傷害に保護的な作用をもつ腸内細菌が存在している可能性があると考えられたが、腸内細菌叢解析とメタボローム解析の結果では、大 豆由来蛋白質給餌群と通常食給餌群に類似性が認められた。腸内細菌叢解析やメタボローム解析からは、食餌による腸内細菌叢・腸内代謝産物などの腸内環境の 変化がメトトレキサートによる消化管傷害増強に関与していることが示唆された。候補となる腸内細菌や代謝産物がメトトレキサートの消化管傷害を防ぐことが可能かどうか確認してみたが、単独の腸内細菌や代謝産物は同定されなかった。このことは、複合的な腸内細菌群や代謝産物群がメトトレキサートの消化管傷害 を防いでいることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由:高脂肪抗ショ糖食給餌時にはMTXの消化管からの排泄が著明に減少していることが明らかになり、食餌がMTXの薬物動態に影響を及ぼしていることが検証された。このことから、通常食を給餌した時にはメトトレキサートの消化管傷害に保護的な作用をもつ腸内細菌が存在しているが、高脂肪抗ショ糖食給餌時には存在していない可能性があると考えられた。腸内細菌叢解析とメタボローム解析の結果では、大豆由来蛋白質給餌群と通常食給餌群に類似性が認められた。このように、食餌による腸内細菌叢・腸内代謝産物などの腸内環境の変化がメトトレキサートによる消化管傷害増強に関与していることが示唆された。候補となる腸内細菌や代謝産物がメトトレキサートの消化管傷害を防ぐことが可能かどうか動物実験で確認してみたが、単独の腸内細菌や代謝産物は同定されなかった。このことは、腸内細菌群や代謝産物群が複合的にメトトレキサートの消化管傷害を防いでいることを示唆しており、上記の結果を合わせて論文を投稿し、受理された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでには、大腸の腸内細菌叢解析とメタボローム解析を行ってきたが、得られた候補細菌群・候補代謝物はメトトレキサートの消化管傷害を防ぐことができなかった。このことは、腸内細菌群や代謝産物群が複合的にメトトレキサートの消化管傷害を防いでいることを示唆している。しかし、小腸の腸内細菌叢解析やメタボローム解析を行えば、メトトレキサートの消化管傷害を防ぐ腸内細菌群や代謝物を同定できる可能性は否定できない。
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