研究課題/領域番号 |
18K10987
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山田 英二郎 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (60645563)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Fyn / STAC3 / サルコペニア |
研究実績の概要 |
サルコペニアの成因には以前はmTOR系を介した細胞増殖系とFOXO系を介したユビキチン-プロテアソームシステムによる蛋白分解の両者の経路が関与しているとされてきたが、近年オートファジー(自己貪食)調節機構も関与することが報告され、注目されてきている。そんな中、我々は最近、骨格筋において、非受容体型チロシンキナーゼの一つであるFynがmTORの活性調節のみならず、STAT3のリン酸化を調節し、オートファゴソームの誘導に重要であるとされているVPS34-ATG14-Beclin1 complexを介してオートファジー機構を調節し、サルコペニアに関与する事を報告した(Yamada E et al. Cell Rep. 2012)。しかし、こうした検討は主に骨格筋特異的Fynトランスジェニックマウスによって証明されたものであり、実際にサルコペニアにおいてFynがどのような役割をしているかは明らかではなく、さらにFynの標的因子はVPA34を含むcomplexのみではない可能性もある。今回は、①我々がリン酸化プロテオーム解析結果として新たにクローニングしたFynの新規ターゲット蛋白STAC3(SH3 and cysteine rich domain 3)がFynによる133番目のチロシンリン酸化を介してサルコペニアの成因に関与しているか②Fyn-STAC3経路が実際にサルコペニア発症に関与しているかの検討を行う。これらが明らかになることで、新たなサルコペニア発症メカニズムと治療ターゲットを解明できることになり、その治療に大きく貢献することができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野生型マウスを用いた検討で腓腹神経を切断させたマウスモデルでの筋肉委縮関連タンパクの解析やオートファジーの調節機構の解析は順調に進んでいる一方、昨年度に供与を受けたFynのノックアウトマウスの繁殖がうまくいかなず、1年かけてホモマウスの子供は5匹程度にとどまっているため、まだ実験をするには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
実験に使用可能なホモマウスが使用できるまでに、野生型マウスを用いてオートファジー調節機構などの解析をしっかり行い、preliminaryなcheckをしっかり行なっておく。またその間に細胞を用いたin vitroの実験も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
注文の遅れによる事務的な事由。
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