研究課題
近年、ミトコンドリアストレス応答活性化と長寿が密接に関わることが線虫やマウスを用いた研究から明らかとなってきた。これまでにミトコンドリアストレス応答を誘導するさまざまな遺伝子変異によって線虫の寿命が延長すること、長寿系統のマウスにおいて、ミトコンドリアストレス応答に関与する遺伝子に一塩基多型(SNPs)が同定されたこと、哺乳類の培養細胞においてミトコンドリアストレス応答のメカニズムが保存されていることなどから、ミトコンドリアストレス応答の活性化が長寿を引き起こす仕組みが線虫から哺乳類に至るまで保存されていると考えられる。本研究の目的は、ミトコンドリアストレス応答を介して寿命延伸効果を発揮する医薬品化合物を同定することである。これまでに、当初の予定どおりの特許切れ医薬品化合物ライブラリや植物由来化合物ライブラリのスクリーニングを終えた。ミトコンドリアストレス応答を活性化する化合物として、特許切れ医薬品化合物ライブラリから8化合物を同定した。線虫を用いた生存分析を行い、1化合物の寿命延伸効果を確認した。さらに線虫変異体やRNAiによる解析から、当該化合物による寿命延伸は、ミトコンドリアストレス応答を介することが強く示唆された。
2: おおむね順調に進展している
これまでに、当初の予定通りのスクリーニングを終えた。ミトコンドリアストレス応答を活性化する化合物として、特許切れ医薬品化合物ライブラリから8化合物を同定した。線虫を用いた生存分析や線虫変異体やRNAiによる解析も始まっており、当初の計画通りに研究計画が進んでいるため。
今後は当初の研究計画どおりに、線虫を用いた寿命延伸のメカニズム解明を進めるとともに、ヒト培養細胞を用いた検証を行う予定である。追加スクリーニングは実施しない。
目的の化合物が複数同定されたため、想定していた追加スクリーニングの必要がなくなり、当該助成金が生じた。当初の予定よりも解析対象となる化合物が増えたため、当該助成金を次年度に充てる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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