研究実績の概要 |
本年度は、フルクトース(Fru)食の影響をグルコース(Glu)食と比較するため、魚油または大豆油をFruまたはGluと組み合わせた飼料を合計4種類調製してラットに4週間給餌した。得られた結果は、二元配置分散分析により糖質(FruまたはGlu)と脂質(魚油または大豆油)による影響や交互作用について解析した。腸間膜脂肪重量に差は認められなかったが、腎周囲および副睾丸周囲脂肪重量は、脂質の影響が観察され、魚油群で低かった。しかし、褐色脂肪における脂肪燃焼に関連する遺伝子(Adrb3, Hsl, Ucp1)の発現には影響は見られなかった。血漿中トリグリセリド(TG)濃度には交互作用が認められ、Fru + 大豆油群が最も高かった。肝臓TG濃度にも交互作用が認められ、Glu + 大豆油群が最も高く、血漿中TGとは異なるパターンであった。肝臓での脂肪酸生合成に関連する遺伝子の発現(Acc, Fasn)は、糖質および脂質の影響が認められ、Fru群で高まり、魚油群で低下するというものであった。肝臓での脂肪酸酸化に関連する遺伝子であるAcox1は脂質の影響が認められ、魚油群で高かった。一方Cpt1aの発現量には差は認められなかった。血漿中コレステロール(Chol)濃度には、脂質の影響が認められ、魚油群で低かった。肝臓Chol濃度は、交互作用が認められ、Fru + 大豆油群が最も低かった。コレステロール代謝に関連する遺伝子であるHmgcr, Ldlr, Srebf2の発現量は、脂質の影響が認められ、大豆油群で高かった。Fruと油脂を同時に摂取することにより、これまで報告されている生理作用が観察されない場合があることから、さらなる研究が必要である。
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