研究課題/領域番号 |
18K11008
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
石塚 理香 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (50461190)
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研究分担者 |
佐伯 圭吾 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60364056)
高地 リベカ 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60413085)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 写真法 / 食事調査 / 大規模疫学研究 / 生体リズム |
研究実績の概要 |
近年、時計遺伝子の発見など時間生物学の発展により、糖・脂質代謝のサーカディアンリズムの存在が明らかになり、同じ量の栄養摂取でも摂取する時刻や摂取パターンによって肥満や脂質異常症の発症リスクが異なることが動物実験で示されている。しかしヒトでは食事摂取のパターンの違いが及ぼす長期健康的な影響は不明な点が多い。生体リズム異常と健康の関連は、動物実験やコントロール下でのヒトの生理学実験が多数報告され、メカニズムの解明が進んできているが、日常生活下における食事状況と生体リズム異常、疾病発症など長期的な健康影響についての研究は乏しい。申請者らはこれまで実生活化で曝露する温度や光曝露を実測するコホート研究を確立し、血圧日内変動、身体活動量、メラトニン分泌量といった生体リズム指標や肥満、睡眠障害、うつ症状との関連を報告してきた。 本研究の目的は、写真法によって正確に把握した食事時刻や絶食時間の実態を明らかにし、メラトニン分泌量などの生体リズム指標、肥満、糖尿病、脂質異常症、うつ、不眠症の有病割合との関連を明らかにすることである。 令和元年度は、40歳以上の一般住民95名を対象に、写真法を用いた食事調査(食事時刻、夜間絶食時間)に加えて、生体リズム指標(尿中メラトニン、アクチグラフで測定した身体活動量リズム、手首皮膚温リズム)、生体リズム関連疾患(糖尿病、脂質異常症、肥満症、うつ症状の有病割合、主観的・客観的睡眠の質)について測定を実施できた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、市町村や県、地域のスポーツクラブと連携して対象者の募集を行った。応募者には、参加説明会を開催し、生活習慣病予防の重要性に関する情報提供に加えて、本研究の主旨についての説明を行い、書面での説明と同意を得て実施した。本研究は、奈良県立医科大学医の倫理審査委員会の承認を得て実施している。毎週約30人ずつ日程調整を行い95名に対する測定を完了した。ほぼ当初計画のとおり、合計595名の調査を実施できたことから、おおむね順調な進捗と考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も対象者を増やす予定であったが、コロナウィルス感染の影響のため困難となる可能性がある。すでに入手した食事写真から食事摂取時刻や絶食時間の分析を中心に研究を進める。夜間絶食時間の連続値や四分位群と、生体リズム指標、肥満、睡眠障害、うつ症状との関連についての単変量に加えて、性・年齢・飲酒・喫煙・服薬・糖尿病や高血圧・慢性腎臓病といった慢性疾患の有病などの交絡因子の影響を調整した変量モデルによる分析の結果を学会・論文発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集とそのデータ整理の作業が、当初の計画よりも少ない経費で実施することができた。
したがって次年度以降に行う食事写真分析の人件費・謝金に充当する予定である。
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