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2018 年度 実施状況報告書

座りすぎによる動脈・静脈血行動態の悪化とその改善策

研究課題

研究課題/領域番号 18K11012
研究機関山梨県富士山科学研究所

研究代表者

堀内 雅弘  山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50310115)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード副交感神経活動 / 気分指標 / 心拍変動 / 主観的不快感
研究実績の概要

本年度は、長時間座位(3時間)中に、弾性ストッキングを着用した時と非着用時(コントロール条件)における、自律神経活動(心拍変動より算出)および精神的ストレスに及ぼす影響を検討した。対照は成人男女18名であった。その結果、ストッキング着用条件では、Visual analogue scale(VAS)法で評価された下肢の不快感および浮腫感が有意に抑制された。一方、身体全体のそれらは両条件で差が認められなかった。また、着用条件においては、POMSにより評価された気分指標の下位尺度のうち、緊張ー不安感および疲労感の増加が、コントロール条件と比較して有意に抑制された。しかしながら、ストレスマーカーの一つである、唾液コルチゾールの濃度は、両条件とも3時間の座位で有意に軽減し、かつ両条件の間に統計的有意差は認められなかった。また心拍数は両条件とも3時間の座位中、有意に増加していたが、その増加率は、ストッキング着用により抑制された。さらに、心拍変動から算出した副交感神経活動の指標であるHFは、ストッキング着用により有意に高い値を示した。さらに、両条件を一括してみた場合、3時間の座位前後での唾液中コルチゾール濃度の変化とPOMSによる活気得点の変化、およびVASにより評価された下肢の不快感との間に、それぞれ有意な相関関係が認められた。
以上のことから、3時間の座位中に、弾性ストッキングを着用することは、副交感神経活動の低下抑制と、精神的ストレスの軽減に有効である可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、弾性ストッキング着用が自律神経活動および精神的ストレスに及ぼす影響を主に検討し、一定の成果が得られた。一方、血管機能の評価および、虚血プレコンディションニングの影響については、予備実験にとどまったが、方法論上の問題も、特になく今後実験を繰り返すことで成果をあげることができると思われる。

今後の研究の推進方策

今後は、近赤外線分光法を用いた、長時間座位時の血液貯留の動態および、超音波ドップラー法を用いた、血管内皮機能の評価に、重点をあてる。同時に、虚血プレコンディショニングの持続効果に個人差が報告されていることから、長時間座位時(中)に、どのようにこのコンディショニング方法を取り入れていくか、予備実験を継続して行う。

次年度使用額が生じた理由

前年度は、実験を主に所属機関職員を対照に行い、消耗品も現有ストックでまかなうことができたため、差額が生じた。差額は本年度、謝金や、論文刊行費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Impact of Wearing Graduated Compression Stockings on Psychological and Physiological Responses during Prolonged Sitting2018

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Horiuchi, Chieko Takiguchi, Yoko Kirihara, Yukari Horiuchi
    • 雑誌名

      International Journal of Environmental Research and Public Health

      巻: 15 ページ: 1-11

    • DOI

      10.3390/ijerph15081710

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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