研究課題
生活習慣病の発症には、遺伝的因子と環境因子が関与する。環境因子の影響を強く受けるBMI・腹囲のadiposityの経年的変化に伴い、生活習慣病関連の検査値は当然変化するが、その変化の少ない人も認められる。そこで本研究においては、adiposity変化に伴い検査値が変化しない群は、遺伝的に疾患抵抗性が高いと仮定。この群との比較によりadiposity変化に強く関連する新規の生活習慣病予測因子を同定するものである。磁気ビーズ法を用いたエクソソーム抽出を行うことが本研究の特徴であるが、本年度はこの手法が安定的にできるようマウスにおいて調整を重ねてきた。また健診サンプルにおいては、匿名化したデータの経時的な変化を簡単に解析できるシステムを構築。まず始めにアルコール摂取頻度が、その後の高血圧発症に影響を及ぼしていることを明らかにし報告した(全国保健管理集会 2018)。このシステムを使い上記2群間の比較を開始。エクソソーム解析のターゲットとする集団を選択するため、データを蓄積している。またこれまで評価を行ってきたαKlothoの喫煙に対する影響に明確な男女差があることを示し報告(CCA2018)。今後の解析においても男女での検討が必要であると考えられた。さらに将来の新規生活習慣病予測因子として重要と考えているHDL結合miRNAの測定にむけて、HDL結合蛋白のshotgunプロテオミクス解析を行い報告し(J Clin Lipidol 2019)、基礎データの蓄積をおこなっている。以上、これまで継続してきた研究成果をまとめつつ、次年度の本研究に向けた準備を整えた。
3: やや遅れている
本研究は、健診データや血清サンプルを用いて研究代表者がこれまで行ってきた基盤研究の延長にあるものである。その点では、順調にデータが蓄積され、論文報告、学会発表も十分行えていると考えている。しかし、本研究のエクソソーム抽出によるmiRNAの評価については、手技的な問題から予定よりやや遅れており、周辺のデータ整備・蓄積が先行してしまったため、予定よりやや遅れているとした。
次年度は、周辺データの整備・蓄積が十分なされており、エクソソーム抽出による評価に集中できるため、遅れは取り戻せると考えている。
計画に関する施設環境の変化のため計画が遅れ、必要物品の購入が少なくなったため。具体的には、動物モデルにおいてエクソソームの抽出を開始しており、そこで技術を蓄積しつつ、ヒトのサンプルを検討する予定であった。しかし動物実験施設の大幅改修の予定が明らかになり、マウスの研究を先行せざるを得なくなったため、ヒトサンプルでのエクソソームの抽出を次年度に変更。それに伴い次年度使用額が生じた。
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J Clin Lipidol
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi: 10.1016/j.jacl.2019.01.002
J Atheroscler Thromb
doi: 10.5551/jat.48405
Clin Chim Acta
巻: 476 ページ: 44-48
doi: 10.1016/j.cca.2017.11.007