研究課題
生活習慣病の発症には、程度に差はあるが遺伝的因子と環境因子が関与する。環境因子の影響を強く受けると考えられているBMI・腹囲等のadiposityの経年的変化に伴い、生活習慣病関連の検査値は当然変化するが、その変化の少ない人も認められる。そこで本研究においては、adiposity変化に伴い検査値が変化しない群は、遺伝的に疾患抵抗性が高いと仮定。この群との比較によりadiposity変化に強く関連する新規の生活習慣病予測因子を同定するものである。2018年度までは、磁気ビーズ法を用いたエクソソーム抽出につきマウスにおいて調整を重ね、2019年度、経年的に凍結保存している健診サンプルにおいてエクソソーム抽出を開始した。しかしこれまで言われてきたような経年的な安定性がこれまでのところ確認できていない。そのため、新規に得られる健診余剰血清からのエクソソーム抽出に変更し、レトロスペクティブな解析を行うように方針を変更しているところである。本研究に伴う基礎的な研究として、これまで評価を行ってきたαKlothoが将来のストレス耐性に関与することを報告し(J Investig Med. 2019)、本研究の今後の解析においてもストレスの情報を考慮する予定である。さらにさらに将来の新規生活習慣病予測因子として重要と考えているHDL結合miRNAの測定にむけて、HDL結合蛋白のshotgunプロテオミクス解析を行い報告した(J Clin Lipidol 2019)。またマウスの解析においては、心筋梗塞後の回復過程においてT細胞が重要であることを報告し(第51回日本動脈硬化学会総会)、さらに網羅的解析により特異的ターゲットを明らかにしつつ、新規生活習慣病予測因子を明らかにする研究を展開している。
3: やや遅れている
本研究は、健診データや血清サンプルを用いて研究代表者がこれまで行ってきた基盤研究の延長にあるものである。その点では、順調にデータが蓄積され、論文報告、学会発表も十分行えていると考えている。しかし、本研究のエクソソーム抽出によるmiRNAの評価については、安定性の問題から方法を変更しており、予定よりやや遅れているとした。
次年度は、エクソソーム抽出による評価が予定通りの結果が出ない場合に備え、マウスを用いた基礎的検討でも結果が出るような計画としている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Investigative Medicine
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