研究課題
疾病の発症には遺伝的因子と環境因子が関与するが、生活習慣病は環境因子の影響を強く受ける。しかしBMI・腹囲のadiposityが経年的に増加しても、生活習慣病関連の検査値の変化の少ない人も認められる。そこで、adiposityの増加にかかわらず検査値が変化しない群は、遺伝的に疾患抵抗性が高いと仮定。この群との比較によりadiposity変化に強く関連する新規の生活習慣病予測因子を凍結保存血清から同定することをめざした。まずこれまで研究してきた因子のαKlothoは、血糖値の悪化や心不全の治療反応性に関連することを新たに見いだしたが、経年的adiposity変化に伴うリスクの増加には有意な関連を認めなかった。尚、生活習慣ではアルコール摂取頻度が、その後の高血圧発症を促進しadiposityが影響を及ぼしていることを報告した。さらに新規因子の網羅的検索のため臓器間のクロストークに重要とされるエクソソームに着目した。エクソソームは、細胞から分泌される小胞であり、小胞内のmiRNAは臓器間のクロストークに重要であり、エクソソーム内容物は比較的長期間安定とされている。しかし、10年間以上保管した凍結血清を用いるとエクソソーム内miRNAは、サンプルにより大幅に減少していた。今回は補正を行い比較するとm1273,m122などが、生活習慣病リスク予測因子としての可能性が示唆された。マウス血清で条件を変えて検討すると、凍結再解凍の条件で大幅に減少したことから、今後保管していく凍結血清の条件を統一するとともに、Adiposityと深く関連するが有効な介入ターゲットが明らかでないHDL上の因子、およびT細胞を中心としたマーカーについても解析を進めていく予定である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Int J Gen Med.
巻: 14 ページ: 229-236
10.2147/IJGM.S291437.
Sci Rep.
巻: 11 ページ: 2058
10.1038/s41598-021-81517-9.
Hypertens Res.
巻: 43 ページ: 322-330
10.1038/s41440-019-0382-8.