研究課題/領域番号 |
18K11022
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
美藤 純弘 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20240872)
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研究分担者 |
藤田 雅子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助手 (40156881)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 顎下腺・舌下腺 / 上唾液核ニューロン / パッチクランプ法 / 免疫組織化学 / ドパミン / D1-like受容体 |
研究実績の概要 |
ラット顎下腺・舌下腺支配の副交感神経の一次中枢である上唾液核ニューロンはドパミンに対して興奮性を示したことから、令和元年度はこの興奮メカニズムの解明に焦点を絞った。上唾液核ニューロンは蛍光色素のDextran-Texas Red-lysineで標識した後に脳幹スライス標本を作製し、標識ニューロンからパッチクランプ法により記録を行った。ドパミン受容体の内D1-like受容体(サブタイプのD1とD5受容体)が興奮性に関与しているという情報から、電圧固定法でD1-like受容体アゴニストのSKF38393をバス投与した。保持電位-70mVで内向き電流を発生したことから、上唾液核ニューロンはD1-like受容体を発現していることが示唆された。D1またはD5受容体選択的アゴニストは無いので薬理学的にこれらの受容体を分析するのは困難なので、免疫組織化学的にこれらの受容体の発現を検討した。上唾液核ニューロンを蛍光色素Fast Blueで標識しておいて、灌流固定後、厚さ8 ミクロンの凍結切片を作製した。D1またはD5受容体に対する一次抗体を反応させた後、Rhodamine標識二次抗体を反応させ、二重染色を試みた。その結果、多くのFast Blue標識ニューロンがD1またはD5受容体を発現していることが明らかになった。従って、上唾液核ニューロンはシナプス後膜のD1またはD5受容体を介して興奮すると考えられる。一方、D2-like受容体(D2、D3、D4受容体)はシナプス伝達に対して主に抑制的に働くという報告があるので、抑制性シナプス伝達を抑制することにより(脱抑制)興奮させるメカニズムも考えられる。現在、上唾液核ニューロンにおけるGABA作働性またはグリシン作働性抑制性シナプス伝達に対するD2-like受容体アゴニストの影響を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パッチクランプ実験で使用する機器の度重なる故障の為、実験することが出来ない期間があったためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
上唾液核ニューロンにおけるD1-like受容体(D1、D5受容体)を介した興奮メカニズムについて、つまりD1-like受容体アゴニストおよびアンタゴニストを用いた薬理学的実験の例数を増やす。また、予備実験でD2-like受容体(D2、D3、D4受容体)の内、D3とD4受容体に免疫活性を示すことが明らかになったので、免疫組織化学的検討を進めると同時に、これら受容体を介した興奮メカニズムについて分析を行う。つまりGABA作働性またはグリシン作働性抑制性シナプス伝達に対するD3、D4受容体アゴニストの影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の購入等について安価に抑えることができたことから、僅かではあるが次年度使用が生じた。この残額は早々に新年度予算と合わせて消耗品に使用する予定である。
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