研究実績の概要 |
Fmo3-mRNAはカロリー制限(CR)によって自由摂食群(AL)に対して発現が1000倍レベルで増加する。この効果はNpy遺伝子欠失マウスでは消失した(未発表データ)。FMO3は、cytochromes p450やNAD(P)H: quinone oxidoreductase (Nqo-1)と同じく、Xenobiotics(生体異物)の代謝に重要な役割を果たすことが知られている。我々は、Npy遺伝子欠失マウスでは、CRの寿命延伸効果や腫瘍抑制効果が減弱することをすでに報告した(Chiba T, Hayashi H他、2014)。よって、FMO3は、Npyの下流にあって、CRの効果に重要な役割を果たすことが予測された。
1) 化学発癌による肝細胞癌モデルにおけるFom3-mRNAの発現:肝細胞癌の発症、増大におけるFmo3の役割を明らかにするために、まず、Npy遺伝子欠失マウスモデルにおけるCRの効果とFmo3の発現を検討した。化学発癌モデルでは、Npy欠失マウスにおいてもCRによって腫瘍の増大が抑制された。この時、Fmo3-mRNAの発現は、CRでは増加したが、Npy欠失マウスで有意に減弱した。よって、CRの腫瘍抑制効果には、Fmo3非依存的経路が存在することが示唆された。
2) Fmo3遺伝子欠失マウスの作出と実験集団:昨年度作出したFmo3遺伝子欠失マウスホモ(-/-)、ヘテロ(+/-)、野生型(WT)集団を確立し、自由摂食(AL)条件で飼育を開始した。ホモ、野生型については、生後12週から30%食餌制限群(DR)を加えた。生後24週までの観察では、AL群の摂食量、体重には有意な差はなかった。
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