研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月より5類感染症に変更されたが、従前からのフィールドにおける調査は自治体側の意向により認められなかった。このため、別途、新たにこの種の調査・研究を受け入れ可能な1自治体(大阪府内A町)の住民を対象として、新規の調査を実施した。 調査内容は、本研究や先行の研究で得られている知見の再現性の確認に加え、当該自治体において以前より栄養・食生活に関する課題となっている若年者の食塩とカリウム(野菜・果物等)の摂取状況と低出生体重児の出生との関連性の有無について検討した。 母親の妊娠前BMI算出し、日本肥満学会の基準により、低体重、普通体重、肥満の3群に分類した。この3群間で、在胎週数、出生体重を比較(平均値(標準偏差))したところ、在胎週数は順に37.9(1.2)週、38.8(1.4)週、39.1(1.1)週と母親のBMIが高い群となるのにしたがい、高値となる傾向を示した(0.078)。また、児の出生体重児の出生体重を比較(平均値(標準偏差))したところ、順に2,935(450)g、3,028(391)g、3,437(201)gと母親のBMIが高い群となるのにしたがい、有意な傾向性が認められた(0.014)。これらは、本研究や先行研究で報告されている結果と一致していた(解析対象56名)。 一方、このような結果が得られる背景として、両親の栄養素摂取状況の質や食習慣が影響を及ぼしている可能性が考えられた。そこで、母親と父親に各々食塩とカリウム(野菜・果物等)摂取状況の指標として、4ヶ月児健診後に両親の推定24時間尿中ナトリウム/カリウム比測定と食習慣に関するアンケートを依頼した。母親については、在胎期間や出生体重等との関係も検討した。しかし、取りまとめ時点での対象者数が限られていることもあり、母親父親ともに有意な関連は認められなかった。
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