研究課題/領域番号 |
18K11028
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
中田 正範 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10305120)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 弓状核 / 室傍核 / 視交叉上核 / 概日リズム |
研究実績の概要 |
不規則な食情報の入力は代謝や血圧の概日リズムを変調しメタボを促進するが、この病態の中枢性成因は室傍核・視交叉上核・弓状核の神経回路の変調ではないかと考えた。そこで、本研究では、①三つの神経核に対する食情報の作用、②不規則な食情報の入力による神経回路の変調が糖・エネルギー代謝および血圧調節を破綻させる機序を明らかにすることを目的とした。 昨年度、弓状核AgRPニューロンから室傍核Nesfatin-1ニューロンの神経回路が塩分の過剰摂取時の血圧調節に重要であることを明らかにした。本年度は、AgRPニューロンが細胞外Naイオン濃度を感知することを明らかにした。更にNaイオン濃度を感知するAgRPニューロンはAngiotensinⅡ刺激でも活性化されることから、AgRPニューロンのサブグループは室傍核への神経投射を介して血圧調節を行っていることが示唆された。最終年度は、Naイオンの感知機構を解明する。 昨年度、インスリンが弓状核AgRPニューロンや室傍核オキシトシンニューロンをインスリンシグナル分子PDK1依存性に活性化することを報告した。本年度は概日リズムの中枢である視交叉上核のニューロンにおけるインスリン作用をin vitroで検討した。インスリンは、AVPニューロンとVIPニューロンの10~20%を活性化した。更に、両ニューロンとも高グルコース刺激によっても活性化された。この結果から、食事による血糖上昇やインスリン濃度の上昇が概日リズム調節に寄与する可能性が示唆される。一方、両ニューロン以外の視交叉上核のニューロンもインスリンで活性化された。今後はこのニューロンの同定も行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4つの研究計画のうち、2つの計画は達成し、別の2つの計画は当初の予想と異なる結果になり、副次的な知見を発展させるべく変更する。また、初年度の研究室の移動とそれに伴う研究の中断がありやや遅れている。。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究室の異動とセットアップによる研究の遅れを十分には取り戻せていない。しかしながら、室傍核ニューロンの研究から副次的に興味深い結果を得ておりそれを発展させる。また他研究室の協力もあり、研究は進むと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究室の異動とセットアップの遅れが取り戻せていない。計画の遅れもあり、研究費の使用が減っていることから、次年度への繰り越すことになった。次年度は遅れを取り戻す予定である。
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