研究課題
不規則な食情報の入力は代謝や血圧の概日リズムを変調しメタボを促進するが、この病態の中枢性成因は室傍核・視交叉上核・弓状核の神経回路の変調ではないかと考えた。そこで、本研究では、①三つの神経核に対する食情報の作用、②不規則な食情報の入力による神経回路の変調が糖・エネルギー代謝および血圧調節を破綻させる機序を明らかにすることを目的とした。本研究ではこれまでに、弓状核AgRPニューロンから室傍核Nesfatin-1ニューロンの神経回路が塩分の過剰摂取時の血圧調節に重要であることを明らかにした。弓状核にはAgRPニューロン以外に、摂食抑制系POMCニューロンが存在する。AgRPおよびPOMCニューロンが細胞外Naイオン濃度変化を感知するが、この感知にPOMCニューロンではTRPファミリーの関与が示唆された。今後、AgRPニューロンの感知機構を解析予定である。本研究で、インスリンが弓状核AgRPニューロンや室傍核オキシトシンニューロンをインスリンシグナル分子PDK1依存性に活性化することを報告した。インスリンは概日リズムの中枢である視交叉上核のAVPニューロンとVIPニューロンの10~20%を活性化する。両ニューロンとも高グルコース刺激によっても活性化された。この結果から、食事による血糖上昇やインスリン濃度の上昇が概日リズム調節に寄与する可能性が示唆される。今後、インスリンのシグナリングを解析予定である。
4: 遅れている
研究初年度に、研究室の移動があり、研究セットアップに時間がかかった。特に動物の移動・繁殖が大きく遅れた。さらに、コロナの影響研究活動も制限された事が研究の遅れになった。
現在、2つの研究計画を遂行中であり期間内の完成を目指す。
研究所年度の研究室の移動、本年度のコロナでの研究制限により研究が遅れていることより研究期間を延長する。その研究費として、消耗品および論文投稿料として次年度に使用予定である。
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Evid Based Complement Alternat Med.
巻: 2020 ページ: 5418586
10.1155/2020/5418586. eCollection 2020.
https://www.wakayama-med.ac.jp/dept/igakubu/160414/index.html