研究課題
身体不活動は、骨格筋の「量」だけでなく、インスリン抵抗性などの「質」の低下をも引き起こし、様々なリスクの原因となる。しかしながら、東アジアで多く見受けられる非肥満者インスリン抵抗性発症メカニズムとして、身体不活動がある可能性が示唆されているが、身体不活動がどのようにしてインスリン抵抗性を惹起するかについてはほとんど検討されていない。そこで、高脂肪食や運動による骨格筋における代謝などに影響すると報告されており、骨格筋DNAのメチル化が身体不活動における骨格筋の量と質制御にどのような役割を果たしているのか明らかにするために、マウス下肢固定による身体不活動モデルを用いて実験を行った。具体的には、普通食、あるいは高脂肪食を2週間負荷したマウスに対して24時間片側下肢固定を行い、骨格筋(ヒラメ筋)のDNA抽出を行った。その後、5-mCを含むDNAを、メチル化DNA免疫沈降法(MeDIP:Methylated DNA Immunoprecipitation)により免疫沈降を行い、得られたDNAを次世代シークエンスにより分析し解析を行った。同時に、抽出したDNA をバイサルファイト(亜硫酸水素塩)シークエンスによって全ゲノムを分析し解析を行った。その結果、メチル化DNA免疫沈降によって同定された遺伝子のプロモーター領域の数は、コントロール(普通食)と高脂肪食では有意差があり、コントロールと不活動(普通食、24時間固定)でも有意差を認めた。また、不活動と高脂肪食後の不活動においても有意差を認めた。また、これらの結果とバイサルファイトシークエンスの結果を合わせ、解析を行い、不活動に係るエピジェネティック修飾の候補を同定した。
2: おおむね順調に進展している
現在概ね順調に研究を遂行できている。
これまで同定された不活動に係るエピジェネティック修飾の候補に対して、マウスC2C12筋管細胞を用いたin vitroによる検討で確認を行うと共に、更なるメカニズムを解明する。また今回の結果から、IRS1発現に対するLipin1関与のメカニズムと、mTORの活性化制御によるLipin1の骨格筋萎縮に対する不活動に係るエピジェネティック修飾の影響も同時に検討しており、こちらも更なるメカニズムを解明する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件)
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