研究課題
近代化と共に身体活動量の低い生活環境は世界的な広がりをみせ、現在では全世界の死亡数の6%が身体不活動(Physical inactivity)に起因すると推計されており、高血圧、喫煙、高血糖につぐ、第4番目の主要死亡リスクファクターとなっている(WHO, 2010)。身体不活動は、骨格筋の「量」だけでなく、インスリン抵抗性などの「質」の低下をも引き起こし、様々なリスクの原因となる。これまで、片側下肢を24時間固定する「不活動モデル」を使った動物モデルにおいて、不活動により活性化するフォスファチジン酸脱リン酸化酵素(Lipin1)が、不活動による骨格筋の「量」と「質」の低下における重要な鍵分子である可能性を明らかにしてきた。実際、不活動がLipin1活性化を通して骨格筋細胞内ジアシルグリセロール(IMDG)を蓄積させ、骨格筋インスリン抵抗性を惹起させることを明らかとしてきたが、この結果に対して、異なる筋線維組成を持つ筋においても同様の現象が起こるのかを確認したところ、速筋線維豊富な筋においては不活動によるインスリン抵抗性は惹起されたにもかかわらずIMDG蓄積は観察されなかった。よって、この現象は筋線維タイプによっても作用機序が異なる可能性が示唆された。高齢者における加齢による筋量減少(サルコペニア)では速筋線維が優位に委縮することが知られており、これらの作用機序についても詳細な検討が必要であると思われる。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件)
Sci Rep
巻: 25 ページ: 7304
10.1038/s41598-021-86892-x.
J Appl Physiol (1985).
巻: 128 ページ: 1153-1162
10.1152/japplphysiol.00530.2019.
J Diabetes Investig.
巻: 11 ページ: 874-877
10.1111/jdi.13227.
Physiol Rep.
巻: 8 ページ: e14516
10.14814/phy2.14516.
巻: 11 ページ: 1520-1523
10.1111/jdi.13245.
Diabetes Ther.
巻: 11 ページ: 2401-2410
10.1007/s13300-020-00895-x.
J Clin Med
巻: 6 ページ: 3951
10.3390/jcm9123951.