研究実績の概要 |
高齢者では老化に伴い概日リズムの位相が前進し、睡眠時間と睡眠の質が低下することが知られている。老化促進モデルマウス(Senescence-Accelerated Mouse: SAM)を加齢性睡眠障害のモデルとして活用することで概日リズムと睡眠構築の評価を行い、ローヤルゼリー(RJ)の効果を検証した。実験群は、SAMR1対照群、SAMR1-RJ群、SAMP8対照群、SAMP8-RJ群の4群構成とした。RJは1ヶ月齢の時点から6ヶ月間にわたり重量比5%で餌に添加して与えた。赤外線行動量センサーから得られた活動状態を基にした概日リズムの評価は1ヶ月齢から5ヶ月齢まで毎月行った。6ヶ月齢の時点でマウスの脳波・筋電図シグナルをVitalRecorderを用いて経時的に収録し、睡眠解析プログラムSleepSign ver3を用いて睡眠・覚醒の量的・質的解析を行った。概日リズムの評価を行った。2ヶ月齢から5ヶ月齢のSAMP8マウスの明期12時間の活動量はSAMR1のそれに対して有意に高いことが示されたのに対して、暗期12時間の活動量は両系統で差が認められなかった。暗期12時間と明期12時間の活動量の比を比べるとSAMR1が3.7-5.4の値を示したのに対してSAMP8では1.6-2.5の値を示した。SAMP8はSAMR1に対して概日リズムの振幅が小さいと考えられたが、4,5ヶ月齢においてRJは概日リズムの振幅に対する改善傾向が認められた。睡眠構築の評価を行った。6ヶ月齢SAMP8マウスのNon Rapid Eye Movement (NREM)睡眠量とRapid Eye Movement (REM)睡眠量はSAMR1に対して有意に低い値を示した。また、SAMP8マウスのNREM睡眠持続時間はSAMR1に対して有意に短縮していたことから、睡眠の断片化に伴い睡眠の質が低下していると考えられた。RJはNREM睡眠量およびNREM睡眠持続時間に対して改善傾向を認めた。
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