研究課題/領域番号 |
18K11034
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
橋本 理尋 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90724253)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CREG1 / 細胞老化 / トランスジェニックマウス / 寿命 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
高齢化社会を迎え、生活習慣病が増え続ける先進国では、健康寿命の延長や老化制御に関する研究への期待が高まっている。肥満や糖尿病を含む生活習慣病が進行すると、インスリン抵抗性が高まり、個体レベルの老化を加速することが知られている。我々は、独自に樹立した脂肪組織特異的にCREG1の発現が誘導される aP2-CREG1-Tgマウスを利用し、CREG1が褐色脂肪の分化誘導を促進し、様々な生活習慣病態を改善することを明らかとした。加えて、CREG1が細胞分裂や細胞老化と関連があるという報告もなされていることから、aP2-CREG1-Tgマウスは個体老化や寿命制御におけるCREG1の役割を解明するためのモデル動物として適していると考えられた。本研究では、aP2-CREG1-Tgマウスを用いてCREG1と老化・寿命との関連性を明らかにすると共に、CREG1と細胞老化との分子レベルでの関連について検討することを目的とした。前年度は、まずインビボの実験として、aP2-CREG1-Tg マウスの低発現ラインであるLine49と高発現ラインであるLine52の雌マウスを用いて平均寿命及び最長寿命について検討を開始し、本年度ではこれらの寿命解析を完了した。興味深いことに、WTマウス群と比較して、Tgマウス群では平均寿命に差異が認められた。最終年度は、生体内でのCREG1発現量と寿命との関連性について詳細な解析を実施する予定である。また、25ヵ月齢の雌マウスを用いたaiging検討では、前年度に腎臓おける組織レベルの老化についても検討を開始した。本年度は、腎臓についてHE染色やPAS染色法を用いて組織・病理学的な解析を進めた。驚いたことに、25ヶ月齢同士の比較において、WTマウス群とTgマウス群の腎臓では糸球体の平均面積に有意な差があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者は、令和元年6月に中部大学から旭川医科大学に研究拠点を移した。旭川医科大学では早急な研究環境の整備を試みたが、初年度には本研究を計画通りに推進するに十分な環境を整えることができなかった。加えて、本年度末には新型コロナの感染拡大の影響もあり、動物実験に制限が加わり、一部の研究計画実行に支障が生じた。最終年度には、研究環境を十分なレベルまで引き上げ、計画推進における遅れを取り戻せるよう尽力する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度には、本年度の寿命の解析実験で得られた結果を踏まえ、CREG1の発現レベルが個体レベルの老化や寿命に与える影響について詳細な解析を行う。また、本年度に老齢aP2-CREG1-Tgマウスの組織・病理学的解析から得られた結果についても情報解析を進める予定である。また、細胞老化に関連したp16等のマーカーを用いて免疫組織染色解析を実施していく予定である。加えて最終年度には、Real-time PCR法やウェスタンブロッティング法等をにより、 CREG1が細胞老化を制御する分子制御機構について解明することを目標とする。また、最終年度では、MEF細胞等を利用したインビトロの実験を行い、細胞老化とCREG1の発現量の関連性や、生理機能について解明していく予定である。
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