糖尿病は様々な合併症を惹起し、末梢神経障害もその一つである。糖尿病患者は運動を推奨されるが、運動の糖尿病性末梢神経障害に対する効果は明らかになっていなことがある。本研究は運動療法の糖尿病性末梢神経障害の酸化ストレスおよび栄養血管退行に対する効果を検証した。糖尿病ラットモデルを作成し、運動療法を実施した。糖尿病ラットに運動療法を実施した結果、運動神経伝導速度の減少が有意に抑制された。しかし、糖尿病に対する運動療法は坐骨神経の抗酸化酵素であるカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、スーパーオキサイドディスムターゼ活性に影響しなかった。また、糖尿病に対する運動療法は坐骨神経において酸化ストレスの指標であるマロンジアルデヒドに影響は認めなかったが、4-ヒドロキシノネナールは増加した。毛細血管については、糖尿病により毛細血管退行が確認できた。糖尿病の末梢神経に対する運動療法の効果については血管増殖因子である血管内皮増殖因子は有意差を認めなかったが、低酸素誘導因子は低下した。これらの結果より、糖尿病に対する運動療法は末梢神経障害を予防するが、酸化ストレスを増大させる可能性があることが示唆された。また、低酸素誘導因子が低下したことから運動療法が末梢神経の血流を増加させ酸素供給量を増大させている可能性が示唆された。以上のことより運動療法は末梢神経の血液循環を改善させ末梢神経障害を予防しているの可能性がある。
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