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2019 年度 実施状況報告書

非アルコール性脂肪性肝疾患に対する加速度訓練と水素による新しいハイブリッド治療

研究課題

研究課題/領域番号 18K11042
研究機関筑波大学

研究代表者

磯辺 智範  筑波大学, 医学医療系, 教授 (70383643)

研究分担者 正田 純一  筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
蕨 栄治  筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
岡本 嘉一  筑波大学, 医学医療系, 講師 (90420083)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード非アルコール性脂肪性肝疾患 / 水素 / 加速度訓練 / ハイブリッド治療
研究実績の概要

非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)に対しては、様々な治療法が試みられてきたが、「運動するのが面倒、食事管理ができない、薬を飲み続けられない」などの患者主体の理由により、治療が長続きしない例が多い。本申請者は、高速で微細振動するプラットホームの上に乗るだけで高い運動効果を得られる加速度訓練と、水素(高濃度水素の飲水、ガスの吸入)の抗酸化作用に着目した。
本研究の目的は、「無理なく長続きする治療法」という視点から、加速度訓練と水素摂取によるハイブリッド治療が、NAFLDの代謝改善と進展予防に効果的であることを明らかにし、治療の実践プログラムを確立することである。
2019年度はマウスを用いた基礎的研究に重きをおいた。6匹ずつ2群に分けた野生型マウスに対し、水素水または通常水を強制経口投与した(水素濃度開封時10 ppm、1.5 ml/回/匹、1回/日、14日間)。投与期間終了後、マウス用トレッドミル装置を用いてマウスが疲労し切るまで運動させ(初速5 m/分、3分ごとに漸増、最大28 m/分)、走行距離を比較検討した。結果は各群に有意差はなかったものの、水素水投与群はコントロール群と比較して、走行距離が長い傾向があった。初回は有意差が得られなかったため、マウスの匹数や水素水投与期間を増やして再実験を行った(12匹/群、21日間)。水素水投与群がコントロール群と比較して走行距離が長かったものの有意差はないという同様の結果であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、加速度訓練と水素摂取によるハイブリッド治療が、NAFLDの代謝改善と進展予防に効果的であることを明らかにし、治療の実践プログラムを確立することである。この目的達成のため、本研究は①加速度訓練の効果検証、②水素摂取の効果検証、③実践プログラムの構築という3つのステップで進めていく計画である。
2019年度は、マウスを用いて上記ステップの②水素摂取の効果検証に取り組み、一定の成果を収めた。この検証においては、水素水投与が野生型マウスの運動能力を増強するという傾向が得られたものの、有意なデータを得ることはできなかった。しかしながら効果を期待させる一定の傾向は確認できたため、今後は高脂肪食により肥育したマウスを対象に検証を進めることにより、成果をあげることが可能であると考えている。さらに2019年度は、NAFLD患者に対する加速度訓練と水素水投与を併用した介入に取り組み始めた。現時点では対象が少数であるためハイブリッド治療の効果を明らかにできていないが、今後も検証を継続し、データ蓄積をしていく計画である。

今後の研究の推進方策

2020年度は、野生型マウスおよびNAFLD患者を対象とした2種の検討を実施する予定である。
(1)NAFLD患者を対象とした検討に先立ち、肥満マウスの体脂肪に水素水が与える影響を評価することを目的とする。マウスに8~12週間程度高脂肪食を与え肥育後、2群に分け水素水または通常水を強制経口投与し(水素濃度開封時10 ppm、1.5 ml/回/匹、1回/日、8~12週間程度)、さらに水素水群には通常時も水素水を自由飲水させる。肥育前・後、および水素水投与後の3つの時期において、動物用CT装置を用いた体脂肪の評価、小動物用代謝計測システムを用いた呼吸代謝測定を行う。また、体重の変化、アディポサイトカイン、酸化ストレス刺激に対する生体防御機構、および抗酸化酵素を発現誘導する生体内抗酸化システム等の検討も計画している。
(2)加速度訓練の効果:パワープレートを使用し、NAFLD患者100例程度を対象(NAFLD患者は食事や運動などの生活背景により状態が変化しやすいため、データのバラツキを考慮して対象数を決定する)として、加速度訓練(週2回、3ヶ月の介入)を実施する。介入の前、中、後において、体組成、筋力測定、血液生化学検査、機能画像情報検査(MRIと超音波による「肝の線維化と脂肪化の程度」)について評価する。
上記2種の検討結果を基に、本研究の最終ステップである③実践プログラムの構築に移行していく。すなわち、NAFLD患者を対象とし水素水投与と加速度訓練を組み合わせた介入法の確立を目指す。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] MRSによる代謝物定量への道のり2019

    • 著者名/発表者名
      磯辺智範,只野喜一,高倉有,佐藤英介
    • 雑誌名

      日本放射線技術学会雑誌

      巻: 75 ページ: 832-838

    • DOI

      10.6009/jjrt.2019_JSRT_75.8.832

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生理検査のアーチファクト MRI検査⑤ 動きのアーチファクト2019

    • 著者名/発表者名
      高倉 有, 佐藤英介, 磯辺智範
    • 雑誌名

      検査と技術

      巻: 47 ページ: 704-707

    • DOI

      10.11477/mf.1543207599

  • [雑誌論文] 生理検査のアーチファクト MRI検査④ 磁化率のアーチファクト2019

    • 著者名/発表者名
      高倉 有, 佐藤英介, 磯辺智範
    • 雑誌名

      検査と技術

      巻: 47 ページ: 638-641

    • DOI

      10.11477/mf.1543207578

  • [雑誌論文] 生理検査のアーチファクト MRI検査③ 第2の化学シフトアーチファクト2019

    • 著者名/発表者名
      高倉 有, 佐藤英介, 磯辺智範
    • 雑誌名

      検査と技術

      巻: 47 ページ: 551-554

    • DOI

      10.11477/mf.1543207551

  • [学会発表] 放射線診断物理学2019

    • 著者名/発表者名
      磯辺智範
    • 学会等名
      2019年度医学物理士認定試験記述式問題対策講習会
    • 招待講演
  • [図書] 若葉マークの画像解剖学 改訂第3版(MRS)2019

    • 著者名/発表者名
      磯辺智範、只野喜一
    • 総ページ数
      761
    • 出版者
      メジカルビュー社(東京)
    • ISBN
      978-4-7583-1930-0
  • [図書] 放射線物理学(波動)2019

    • 著者名/発表者名
      磯辺智範、榮武二、遠藤真広
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      国際文献社
    • ISBN
      978-4-902590-86-9

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公開日: 2021-01-27  

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