研究課題
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)に対しては、種々の治療法が試みられてきたが、「運動するのが面倒、食事管理ができない、薬を飲み続けられない」などの患者主体の理由により、治療が長続きしない例が多い。本申請者は、高速で微細振動するプラットホームの上に乗るだけで高い運動効果を得られる加速度訓練と、水素の抗酸化作用に着目した。本研究の目的は、「無理なく長続きする治療法」という視点から、加速度訓練と水素摂取によるハイブリッド治療が、NAFLDの代謝改善と進展予防に効果的であることを明らかにし、治療の実践プログラムを確立することである。2020年度は、2019年度に引き続きマウスを用いて水素摂取の効果検証に取り組んだ。具体的には、野生型マウスを用いて、長期間の水素水投与が肥満抑止に効果があるかどうかを評価した。マウス(8週齢)に8~12週間程度高脂肪食を与え肥育後、6匹ずつ2群に分け、水素水または通常水を経口投与した(水素濃度開封時10 ppm、自由投与、2回/日交換、12週間)。12週間後、通常水(コントロール群)と水素水投与群において、体重測定、X線CTを用いた筋肉量・体脂肪量を測定し、比較検討した。結果、水素水投与による体重の変化はなかった。また、筋肉量、内臓脂肪、皮下脂肪にも変化がみられなかった。2019年度(運動能力の増強効果)と2020年度(抗肥満効果)の結果から、水素水投与は、抗肥満効果は期待できないが、運動能力を増強するという傾向が得られた。さらに、2020年度は、臨床応用に向けた実践プログラム構築の準備段階として、NAFLD患者に対する加速度訓練と水素水投与を併用した介入に着手した。症例数が少ないため、ハイブリッド治療の効果を明らかにできていないが、今後も継続してデータ蓄積し解析を進める。
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Hepatology Research
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