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2021 年度 実施状況報告書

マイオカインとしてのタウリンの代謝調節作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K11050
研究機関福井県立大学

研究代表者

村上 茂  福井県立大学, 生物資源学部, 特命教授 (50740990)

研究分担者 伊藤 崇志  福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (80423119)
宮崎 照雄  東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードタウリン / マイオカイン / 糖代謝
研究実績の概要

タウリンは哺乳動物の組織に存在する硫酸基を含むアミノ酸誘導体であり、浸透圧調節、Ca2+濃度調節、タンパク安定化、抗酸化作用などを介して、細胞や組織の保護やエネルギー産生において重要な働きを担っている。体内では筋肉に多く存在し、運動により筋肉からタウリンが遊離し、血中や尿中タウリン濃度が上昇することが知られている。本研究では、運動により血中に遊離したタウリンが、肝臓など他の組織に影響を与え、いわゆる「マイオカイン」として作用し、運動の健康増進効果の一端を担っているという仮説を立て、検証を行うことを目的としている。
タウリンの特徴的な作用として糖や脂質代謝への関与があることから、2021年度はタウリンの肝臓に与える影響の検討の1つとして、糖尿病マウスの肝臓におけるタウリンの糖代謝改善作用について検討を加えた。1型糖尿病モデルでは、血中や肝臓でのタウリン量の減少が見られ、タウリンの飲水投与によりタウリン量の増加・回復が認められた。また、糖尿病における肝臓グリコーゲンの減少はタウリン投与により回復し、RT-PCRやマイクロアレイ解析から、これらの作用はタウリンによる糖輸送体(GLUT-2)を介した肝臓への糖取り込みの促進およびそれに続くグリコーゲン合成の増加によることが明らかとなった。
以上の結果から、タウリンは肝臓に作用し、糖尿病で混乱した糖代謝を正常化することが明らかとなった。更なる検証は必要であるが、運動により増加した血中タウリンが肝臓に作用することにより、糖尿病の進展における糖代謝異常を改善し、運動の糖尿病予防効果につながる可能性が示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

糖尿病モデルマウスを使用し、タウリンの作用の1つとして肝臓における糖代謝改善作用および血糖低下作用を明らかにした。しかし、運動により増加した血中タウリンがどの程度これらの作用に寄与しているかを証明することが難しく、現段階では証拠を得られていない。

今後の研究の推進方策

本研究の最終目的は、骨格筋に豊富に蓄積されているタウリンが運動により遊離し、肝臓などの臓器において糖や脂質代謝の改善に寄与する可能性を見極め、タウリンのマイオカインとしての代謝調節作用の証明することである。各臓器の機能や代謝に対するタウリンの作用に関しては、本研究やこれまでの研究で一部明らかとなってきたが、運動により筋肉から遊離したタウリンがどの程度関与しているかは証明できていない。今後、運動時の筋肉からのタウリンの遊離と臓器への影響について明らかにする試験を実施してく必要がある。

次年度使用額が生じた理由

次年度は糖尿病モデルを用い、運動による血中タウリン上昇作用と肝臓におけるタウリンの糖代謝改善作用の関連を証明するための試験を実施する。

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公開日: 2022-12-28  

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