研究課題/領域番号 |
18K11054
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研究機関 | 人間総合科学大学 |
研究代表者 |
平子 哲史 人間総合科学大学, 人間科学部, 講師(移行) (90644261)
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研究分担者 |
竹ノ谷 文子 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (30234412)
塩田 清二 星薬科大学, 先端生命科学研究所, 教授 (80102375)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | GALP / GALR / エネルギー代謝 |
研究実績の概要 |
ガラニン様ペプチド(GALP)は、1999年大瀧らによってブタ視床下部より単離同定された神経ペプチドである。GALPは主に視床下部弓状核で産生され、摂食調節、エネルギー代謝の亢進に深く関与する。中枢で作用したGALPは交感神経系を介して肝臓と白色脂肪組織での脂質代謝を亢進させる事が解明されている。これまでGALPは中枢でのみ産生されていると考えられていたが、最近我々は中枢のみならず末梢組織でも産生され、循環血液中に存在することを見出した。そこで我々はGALPの末梢臓器への影響を調べる目的で、株化細胞株を用いたin vitroの系にてGALPそのものが細胞での代謝経路に及ぼす影響を検討した。まず、我々は株化細胞株においてGALPを強制発現させる系としてGALPを過剰発現するプラスミドベクターの作成を試みた。Gatewayシステムを用いることで高い確率で相同性組み換えが生じ、目的の産物が順列方向に挿入されたアデノウイルスベクターを得られる予定であったが、細胞へのプラスミドレベルでの導入がうまくいかず、また得られたウイルスベクターも力価が足りずin vitroレベルでも実験を行うのに十分な量が確保することに時間がかかってしまったため、ウイルスベクターの使用を断念した。現在は、株化細胞株として入手したマウス肝臓由来細胞株であるHepa1-6やヒト肝臓由来細胞株であるHepG2におけるGALP受容体発現レベルの確認や、GALPそのものの発現レベルについてReal-time PCR法を用いて検討を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウイルスベクターをうまく得ることが出来なかった事に加え、GALP遺伝子発現の定量的解析については、陽性コントロールとして使用したマウスの視床下部では十分な増幅が確認できたが、本来目的としていた株化細胞では十分な増幅を確認できなかった。そのため、増幅配列の妥当性の確認に時間を費やしたため計画より遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
目的としていた株化細胞で十分なGALP遺伝子の増幅を確認できなかった原因として、①株化細胞ではGALP及びその受容体の十分な発現が生じていない。②既存の報告はないが、上記株化細胞におけるGALP及びその受容体内でのバリアントが存在するなどの仮説を元に検討を続けてきたが、うまく仮説を証明できなったことから培養細胞を用いた検討ではなく、in vivo もしくは ex viviでの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
GALP遺伝子発現の定量的解析に関して、株化細胞では十分な増幅を確認できなかったため、増幅配列の妥当性の確認に時間を費やし、予定していた実験を次年度に繰り越したため。
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