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2019 年度 実施状況報告書

高齢者自主グループの運動を普及・継続するための仕組みづくり:住民参加型の実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K11055
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

齋藤 義信  慶應義塾大学, 健康マネジメント研究科(藤沢), 助教 (40750261)

研究分担者 小熊 祐子  慶應義塾大学, スポーツ医学研究センター(日吉), 准教授 (00255449)
今村 晴彦  東邦大学, 医学部, 助教 (40567393)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードグループ運動 / コミュニティづくり / ソーシャルキャピタル / ソーシャルサポート / エンパワーメント / 普及・実装科学 / フレイル / ロコモティブシンドローム
研究実績の概要

本研究はグループで自主的に運動を継続することが、個人の身体機能・精神的健康の改善、社会的つながりの強化を通じて、ポピュレーションレベルでの身体活動促進と介護予防につながるという仮説を設定した。藤沢市老人クラブ連合会(市老連)と共同して、住民参加によるグループ運動開始・継続のための仕組みづくりとその効果(質問紙調査とワークショップ)および短時間・低強度運動プログラムのフレイル予防効果について検討することを目的とした。
加入クラブへの質問紙調査では、全127クラブから回答を得た。グループ運動(体操など)の実施状況は実施96クラブ(76%)、未実施31クラブ(24%)であった。体操実施クラブの実施頻度(71クラブ回答)は、週1回以上が37クラブ(52%)であり、127クラブ全体の29%であった。地区別では、半数以上のクラブが未実施の地区は4地区あった。グループ運動の内容は、身近な場所で気軽に実施し得る体操が最も多かった。しかし、週1回以上定期的に体操を実施しているクラブは全体の29%であった。全15地区で実施予定のワークショップでは、これらの結果をもとに各クラブの意見を抽出し、地区の特徴も考慮したグループ運動の推進方法を検討する予定である。
運動プログラムの効果検証では、定期的にグループ運動を実施していない(月2回未満)クラブを募集したところ、4グループ54名が参加した。3グループ26名を介入群とし、これまで通りの活動を継続する1グループ28名を対照群とした非ランダム化比較試験を実施した。介入群はふじさわプラス・テン体操(Osawa et al. 2015)をグループで週1回、個人で1日1回10週間実施することを目標とした。その結果、介入群では主要評価項目である2ステップ値が介入前後で有意な増加を示した。対照群の測定はCOVID-19感染拡大の影響を鑑み、2020年度に延期した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

グループ運動開始・継続のための仕組みづくりとして、上記質問紙調査の結果およびグループ運動を実施・継続していくためのルール(自生した約束や決まり事)・ロール(自主的な役割)・ツール(役立つ道具や資源)を掲載したグループ運動ガイド(齋藤ら. 2018)を活用したワークショップの開催を計画した。ワークショップは2019年度後半に開始予定であったが、COVID-19感染拡大の影響を鑑み、2020年度に開催を延期した。
運動プログラムの効果検証では、研究に参加することをきっかけに、グループ運動を継続して行う基盤を作ることも目的の一つとして実施した。しかし目標対象者数に達しなかったこと、参加者からの介入の要望を考慮して、ランダム化比較試験ではなく、非ランダム化比較試験として介入群と対照群を任意に割り付けて実施した。対照群における研究開始時時の測定は3月に実施予定であった。しかし、COVID-19感染拡大への影響を考慮し、2020年度に延期した。

今後の研究の推進方策

上記の質問紙調査より、グループ運動を実施していないクラブの未実施理由は、会員の高齢化(68%)、体調への不安(58%)、意欲の低下(45%)、まとめ役の不在(36%)、場所がない(29%)などであった。これらの理由から、自ら積極的にグループ運動を開始できる状況にあるクラブは少なく、運動プログラムの効果検証への参加も希望が少なかった可能性がある。今後実施予定のグループワークで高齢化や体調への不安をはじめとした実施に対するネガティブな要素についての詳細意見を抽出し、グループ運動開始のための促進要因を検討する。一方、グループワークは集団かつ近い距離で意見交換を実施するため、COVID-19感染拡大につながりかねない実施形態である。今後の状況次第では、代替案として質問紙調査を実施するなどの検討を行う。
2020年度前半は運動プログラムの効果検証における対照群の研究開始時および10週間後の研究終了時測定を実施し、介入群との比較をして、短時間・低強度運動プログラムのフレイル予防効果について検討する。
2018年度に実施したクラブ向けおよび個人向け質問紙調査は、前回と同時期(8~9月)に回答者に対する追跡調査を予定している。質問紙調査実施後は、個人およびグループレベルでの身体活動・グループ運動と健康状態(フレイル、精神的健康)との縦断的な関連を検討する。
各研究計画は今後のCOVID-19感染拡大の状況によって、延期・変更もしくは中止を余儀なくされる可能性がある。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染拡大への影響を考慮し、計画を延期したため、当該助成金が生じた。次年度実施時に使用する計画である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 身体活動と公衆衛生-神奈川県藤沢市での活動から得られた知見2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤 義信
    • 雑誌名

      公衆衛生

      巻: 83 ページ: 555~559

    • DOI

      https://doi.org/10.11477/mf.1401209192

  • [学会発表] 身体活動促進のための地域介入:RE-AIM モデルによる評価を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤義信,小熊祐子
    • 学会等名
      第42回日本がん疫学・分子疫学研究会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 都市部における地域全体への多面的介入:ふじさわプラス・テン(神奈川県藤沢市)の取り組み2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤義信,小熊祐子
    • 学会等名
      第74回日本体力医学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 住民主体のグループ運動の実施状況:藤沢市老人クラブを対象とした悉皆調査2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤義信,小熊祐子,今村晴彦,田島敬之,伊藤智也,川瀬敦子
    • 学会等名
      第78回日本公衆衛生学会総会
  • [学会発表] 身体活動を周囲に推奨する高齢者の特徴と動機要因-ふじさわプラス・テンプロジェクト 地域高齢者グループにおける混合研究-2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤智也,小熊祐子,齋藤義信,田島敬之
    • 学会等名
      第28回日本健康教育学会学術大会
  • [学会発表] 高齢者コミュニティにおけるグループ運動参加者の移動機能と体力変化に関する縦断研究2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤智也,小熊祐子,齋藤義信,田島敬之,川瀬敦子
    • 学会等名
      第78回日本公衆衛生学会総会
  • [備考]

    • URL

      http://www.plusten.sfc.keio.ac.jp/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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