研究課題/領域番号 |
18K11055
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
齋藤 義信 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 特任研究員 (40750261)
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研究分担者 |
小熊 祐子 慶應義塾大学, スポーツ医学研究センター(日吉), 准教授 (00255449)
今村 晴彦 東邦大学, 医学部, 助教 (40567393)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グループ運動 / コミュニティオーガニゼーション / ソーシャルキャピタル / ソーシャルサポート / エンパワーメント / 普及・実装科学 / フレイル / ロコモティブシンドローム |
研究実績の概要 |
2018年の藤沢市老人クラブ連合会(市老連)加入者個人への質問紙調査では、回答者の平均年齢(SD)は78.6(6.5)歳、男性が42.5%であった。フレイルの割合は非フレイル41.5%、プレフレイル32.2%、フレイル26.4%であった。グループ運動実施者は全体で40.0%(非フレイル50.6%、プレフレイル41.1%、フレイル21.5%)、実施頻度の中央値(四分位範囲)は8(4-16)回/月であった。グループ運動未実施と回答したオッズ比(95%信頼区間)は、プレフレイル1.29(1.06-1.57)、フレイル2.90(2.23-3.77)であり、住民主体でグループ運動を実施することと非フレイルとの間に正の関連が認められた。 2018年の加入クラブへの調査では、全127クラブから回答を得た。体操などのグループ運動は、96クラブ(76%)が実施していた。2020年9月の調査では、111/117クラブ(95%)から回答を得た。グループ運動は、実施62クラブ(56%)、休止中19クラブ(17%)、未実施30クラブ(27%)であった。未実施・休止中の上位理由は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響32クラブ(65%)、会員の高齢化28クラブ(57%)であった。 運動プログラムの効果検証では、グループ運動を実施していない(月2回未満)クラブを募集した。ふじさわプラス・テン体操(Osawa et al. 2015)をグループで週1回、個人で1日1回10週間実施する3グループ26名を介入群、これまで通りの活動をする1グループ28名を対照群とした非ランダム化比較試験を実施した。その結果、介入群では10週間の介入前後で主要評価項目の2ステップ値が0.04(0.07) [平均変化量(標準偏差)]有意に増加した。一方対照群では2ステップ値に有意な変化を認めなかった0.01(0.01)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.老人クラブ連合会会員個人へのアンケート(追跡調査) 2020年度は、2018年8月に実施した老人クラブ連合会会員個人へのアンケートの追跡調査を実施した。調査は、COVID-19感染拡大の影響を鑑み、当初予定していた2020年8月から9月に延期して実施された。 2.ワークショップ グループ運動を実施・継続していくためのルール(自生した約束や決まり事)・ロール(自主的な役割)・ツール(役立つ道具や資源)を掲載したグループ運動ガイド(齋藤ら. 2018)を活用したワークショップの開催を計画した。ワークショップは2019年度後半に開始予定であった。このワークショップにおいてもCOVID-19感染拡大の影響を鑑み、2020年度に開催を延期した。しかしながら、2020年度もCOVID-19の状況は変わらず、市老連事務局と相談して、実施を見送ることとなった。ただし代替案として、各クラブにアンケートを実施し、ルール・ロール・ツールの実態を調査することができた。 3.運動プログラムの効果検証 運動プログラムの効果検証では、研究に参加することをきっかけに、グループ運動を継続して行う基盤を作ることも目的の一つとして実施した。介入群への測定・介入は2019年度に終了した。対照群の研究開始時測定は2020年3月に実施予定であった。しかし、COVID-19感染拡大への影響を考慮し、2020年度に延期した。その後緊急事態宣言解除されたことを受け、研究実施前・中・後における研究スタッフおよび参加者の感染予防対策を徹底した上で、対照群の測定が実施できた(開始時測定:2020年8月、終了時測定2020年10月)。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染拡大の影響により、調査の遅延やグループワーク・発表予定学会の中止が余儀なくされた。しかしながら、グループワークについては代替案のアンケートを実施できた。本研究で調査予定であった事項はすべて調査が完了したため、今後はデータ解析を進め、学会・学術誌での発表ならびに研究参加者への報告を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大の影響により、発表予定の国際学会の中止が余儀なくされたため。 予定していた学会での発表、学術誌での公表ならびに研究参加者への報告を実施する予定である。
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