研究課題/領域番号 |
18K11062
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40333950)
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研究分担者 |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血小板 / 血栓症 / 容量依存性カルシウム流入 / TRPチャネル / ポリフェノール類 / レスベラトロール |
研究実績の概要 |
本研究では抗酸化物質の一種であるポリフェノール類による抗血栓効果、特に血小板活性化を引き起こすCa2+流入機構への直接的な抑制効果を検討した。 我々は現在までに血小板の主要なCa2+流入経路であるTRP (transient receptor potential) チャネルを介するアルコールの抗血栓作用について検討を行っており、エタノールがTRPチャネルに特異的に作用し、血小板の活性化を抑制する事を報告した。これらの知見を踏まえて、今回我々はポリフェノールによるTRPチャネルを介する血小板容量性Ca2+ 流入 (CCE) 及びジアセルグリセロール (DG) 依存性Ca2+流入に対する効果を血小板凝集、細胞内Ca2+流入等にて検討することとした。蛍光色素Fura-2/AMを用いて血小板細胞内Ca2+ 濃度の変化を測定し、レスベラトロールの血小板活性化に対する効果を検討した。前年度にレスベラトロールは12.5-50μMの範囲で濃度依存的にThrombin刺激による血小板活性化及びCa2+流入を抑制したことを確認していたため、今年度はそれより生理的なさらに薄い濃度でのレスベラトロールの効果を検討した。Thrombin及びCCEを惹起する目的でThapsigarginを用いて血小板凝集及びCa2+流入をを検討したところ、終濃度6.25μMのレスベラトロール投与においても血小板への抑制効果が確認された。しかしながらOAGによるDG依存性Ca2+流入については抑制効果を認めなかった。この事よりレスベラトロールは血小板活性化を抑制し、抗血栓効果を示す可能性が示唆され、その抑制効果はCCEを介する事が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血小板における細胞内カルシウム測定及び凝集についての測定データはおおむね予想通り集積されつつある。引き続き実験計画に沿って検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は刺激惹起剤の種別に応じた検討を行い、かつレスベラトロールの濃度検討についてもより詳細に行うことができた。今後は阻害剤等を用いた機能実験を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等の必要数が当初予定していたよりも少なく済んだため、未使用額が生じた。ただし現在も実験を続行しており、当該未使用額については次年度で使用する予定である。
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