研究課題/領域番号 |
18K11065
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
森田 恵美 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60551968)
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研究分担者 |
若井 建志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50270989)
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 森林浴 / 高血圧 / 一般集団 / 疫学 / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
森林浴は、わが国で広く実践されている健康増進方法の一つである。数時間の森林浴を行った場合の、一時的な急性効果は検証されているが、日常の「健康」への効果に関してはほとんど明らかになっていない。効果を見込めるガイドライン(1.どのような人が、2.何をしたら、3.何に効果が見込めるのか)も存在していない。 本研究では申請者らが約10年かけて収集した約1万人の疫学研究等のデータと検体にて、習慣として行っている森林散策が、生活習慣病や睡眠・メンタルヘルス等に良い影響を及ぼすのかを検証する。これにより健康への効果を明らかにし、「1.どのような体質(遺伝的要因)の人が、2.どれくらいの頻度で森林浴をすれば、3.生活習慣病や、睡眠・メンタルヘルスに寄与できるのか」に着目し、予防効果が見込める森林浴のガイドラインの第一弾を開発する。 本年度は、(1)血圧に関する研究結果を論文として公表した。名古屋市の一般住民約5,000人分の横断研究のデータでは、過去に公表した静岡県の約5000人での結果と同様に、森林浴を習慣として行っても(週1回ないし月1回程度)、高血圧症の有病率が低くはないことが明らかになった。急性効果では、わずかに血圧が低下することが報告されているが、「健康」との関連を検証した本研究では、運動強度を問わない、余暇活動としての頻度での森林散策は、高血圧症には関連がないことが明らかになった。 また、(2) 幸福感に関して学会発表を行った。年数回程度の森林浴でも日常の幸福感やQOL(Quality of Life:生活の質)に寄与する可能性が示唆された。 更に、(3)体質に応じたガイドラインを作成するために、遺伝子解析に着手した。文献調査により、睡眠と関連がありそうな2種類の遺伝子多型を選定した。プライマーも設計し、約5000人分の検体を用いて遺伝子解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、データ解析により成果の公表を行うと共に、遺伝子解析にも着手しており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、遺伝子解析を完了させる。疫学調査から得られているデータと遺伝子解析結果から、習慣としての森林浴による睡眠や生活習慣病への効果の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子解析の着手が年度の後半になったため、遺伝子解析の消耗品の支出が当初の予定より少なくなった。次年度は遺伝子解析を更に進める予定であり、そのために使用する。
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