研究実績の概要 |
習慣としての森林浴の健康への効果を検証するために、生活習慣病等の予防を目指したJ-MICC Study大幸研究(約5000名の名古屋市民を対象)のデータを主に使用して、研究を実施した。本年度は主にデータ解析を行い、成果のまとめを行った。主な内容は以下のようである。 1.森林散策頻度と日常の疲労度について日本森林学会で発表を行った。慢性的な疲労は心身の健康を阻害する可能性があるため、健康増進や疾病予防には、日常の慢性疲労を防ぐことが必要である。森林浴は、疲労の原因の一つである精神的なストレスを軽減させるなどの効果が明らかになっていることから、習慣的に森林浴を行えば、日常の疲労度を軽減させる可能性がある。しかしながら、習慣としての森林浴が日常の疲労度を軽減するのかということは明らかではないため、森林散策頻度と日常の疲労度との関連を検証した。約3,700名のデータを解析したところ、統計解析にて生活習慣等を調整しても、森林散策頻度が低いほど、慢性疲労の割合が有意に高かった。横断研究のため、因果関係は言及できないものの、森林散策を高頻度に行えば、日常の疲労度軽減に寄与する可能性が示唆された。 2.昨年度に引き続き、過去に学会発表を行った成果について、論文化を進め、投稿の準備を行った。内容としては、約2,000人をデータ解析したところ、女性は森林散策を高頻度で行っているグループほど、有意に不眠症の疑いが少なかった。一方、男性では関連は認められなかった。また、別の疫学調査のデータから、睡眠に関連する生活要因についてデータ解析等を進めた。
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