研究課題
Minマウスはヒトにおける大腸がんの高リスク群である家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis:FAP)患者と同じ遺伝子変異を有した疾患対応モデル動物で、12週程度から腸内に多くのポリープを形成し、消化管腫瘍を発症する事が知られている。そこでH30年度はこのMinマウス母体で前妊娠期以降、および妊娠確認期以降に、栄養成分比率の異なる高栄養飼料を与える実験を行った。具体的には、対照群では通期通常飼料にて飼育を行う一方、実験群ではメスMinマウスのケージを分け、1)メーティングさせる1週程度前(前妊娠期)から、2)メーティング後の妊娠を確認出来た時期(妊娠期)以降に、高栄養飼料(高脂肪飼料、または高糖分飼料)を与えた。 実験群・対照群の双方において、出生後は授乳期の親個体も授乳期以降の胎児個体も通常飼料とし、高栄養摂取の影響を純粋に親世代の前妊娠期及び妊娠確認期 以降のみとした。 十分なポリープ形成が見込まれる生後13週以降の時期に腸管ポリープの数と大きさを測定し、統計解析によって発生率の有意な差異が生じているかについて検討すべく全てのマウスを屠殺/解剖し、腸内に出来たポリープの個数と大きさを個体別/部位別に測定した結果、前妊娠期以降、および妊娠確認期以降に高栄養飼料を与えた個体では、有意、もしくは傾向として、腸管に発生するポリープ数が多い、という結果がプレリミナリーに得られた。 この結果を以て今後の研究展開に関する基礎的なエビデンスを得られたものと考え、予定の次の実験に取り掛かろうと計画していたが、機関からの要請によりAMED(日本医療研究開発機構)への出向となってしまったため、改めてこの結果の確認を研究協力者に実施してもらっている。
4: 遅れている
H30年度は 成分の異なる高栄養餌の入手などに手間取ったものの、最も基礎となるべきデータ:前妊娠期以降、および妊娠確認期以降に母個体に高栄養飼料を与えた場合、 仔マウスに生じる腸管ポリープの数と大きさの点で、対照群に比較して実験群には有意な差異が生じうるのか?、に関し、統計的に肯定的な結果が得られたことから、概ね順調に進展していた。ところがH31/R1年度は予想していなかったAMED(日本医療研究開発機構)への出向が機関の要請によって入ってしまったため、予定していた研究がほぼすべて行えず、当初の計画にからはかなり遅れてしまっている。
H31/R1年度からのAMED(日本医療研究開発機構)への出向が今年度も続くため(予定では2年間の出向である)、当年度の進捗も大きくはないことが予想される。そこで、H30年度に行った実験結果の追試を小規模に行いつつ、できれば今年度終盤に特別な事由による研究の継続申請を行って、来年度に集中して研究を実施し、2年分の遅れを取り戻したいと考えている。
研究成果や研究計画で述べたように、H31/R1年度はAMED(日本医療研究開発機構)への出向を行っており、予定していた研究がほとんど実施できなかったため。(H30に実施した実験試料の保管を行っていた冷凍庫の故障による買い替えと、H30実施実験に基づく学会参加などを行うとともに、最低限の研究のみ実施)今年度も出向が続くため、同じく実験結果の再現性確認実験を行うことを予定しているが、概ね研究の繰延と来年度の集中実施を申告する予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Genes Environ.
巻: 41 ページ: 1
10.1186/s41021-018-0116-1
Pharmacognosy Research
巻: 11 ページ: 98-101
10.4103/pr.pr_152_18
臨床消化器内科(特集:肥満と消化器)
巻: 34 ページ: 377-382
10.19020/CG.0000000707
Sci Rep.
巻: 9 ページ: 6192
10.1038/s41598-019-42363-y.
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 515 ページ: 176-182
10.1016/j.bbrc.2019.05.108.
J Clin Biochem Nutr.
巻: 65 ページ: 203-208
10.3164/jcbn.19-36.