研究課題/領域番号 |
18K11071
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
角田 茂 京都大学, 医学研究科, 講師 (60597300)
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研究分担者 |
錦織 達人 京都大学, 医学研究科, 助教 (50815933)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | サルコペニア / 食道癌 / 胃癌 |
研究実績の概要 |
サルコペニアは骨格筋の減少状態と定義され、Friedらが提唱したフレイルティサイクル(虚弱サイクル)の重要な要素として知られている。サルコペニアの進行は活動量、消費エネルギーの低下へと次々に連鎖し、フレイルを更に進行させる。 上部消化管悪性腫瘍、すなわち食道癌や胃癌に対する治療は、内視鏡治療が可能な早期癌を除けば、リンパ節郭清を伴う外科的切除が標準治療であり、悪性腫瘍手術の中で最も多い術式の一つである。しかし、切除に伴う上部消化管の喪失は、術後の経口摂取量の低下が必発であり、患者は体重減少のみならずADL・QOLの悪化に悩まされることが多い。当院で施行した前向きコホート研究では、骨格筋の減少、つまりサルコペニアを有する患者は、手術や化学療法に対し脆弱で、長期予後も不良であった。さらに、上部消化管悪性腫瘍手術後1か月の患者の平均摂取カロリーは1200kcal/日で、45%の患者においてはわずか1000kcal/日未満の摂取にとどまっていた。それに伴い、体重は術後1か月間で平均8.3%減少し、骨格筋量も8.5%減少していた。 サルコペニアを有する上部消化管癌患者に術前から術後にかけて治療介入することで、骨格筋の減少を抑制し、フレイルティサイクルの進行を予防し、術後の患者ADLやQOLの向上が期待される。2020年より根治手術を予定する食道癌患者を対象に、術後の骨格筋量減少の抑制に対する周術期の栄養運動療法の安全性と有効性を評価するために、「食道癌根治手術患者における骨格筋量減少予防を目的とした栄養運動療法の前向き介入試験」を開始し症例集積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当院における、サルコペニアを有する食道癌手術患者の体重変化や骨格筋量の変化などの後方視的解析を終了し、論文発表を行った(Yoshida S, Nishigori T, Tsunoda S, et al. Chronological Changes in Skeletal Muscle Mass Two Years after Minimally Invasive Esophagectomy: A Prospective Cohort Study. Surg Endosc. 2021 Mar 23. doi: 10.1007/s00464-021-08440-y. Epub ahead of print. PMID: 33755788.) 前向き介入研究も2020年に開始したが、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響もあり、手術症例数の減少があり進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も本研究を継続し、前向き介入研究の完遂をめざしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により食道癌手術症例の減少があり、次年度も引き続き前向き介入試験を継続していく。
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