• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

NAD+代謝のトランスオミクス解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K11072
研究機関島根大学

研究代表者

原 伸正  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (20284028)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードNAD+代謝 / ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ / ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ / サーチュイン
研究実績の概要

加齢性疾患がさまざまな臓器のNAD+ レベルの減少と関連し、NAD+ レベルを増加させ、長寿に関わるとされるNAD+ 依存性脱アセチル化酵素サーチュイン(SIRT)を活性化することがこれら疾患の予防および治療に有益であると考えられている。そのため細胞内NAD+ 濃度([NAD+])制御の機序解明は重要である。本研究では、NAD+ 合成・分解酵素活性、NAD+ 合成・分解速度、[NAD+]の階層でのトランスオミクス解析を行い、[NAD+]調節におけるNAD+ 合成・分解酵素の関与を定量的に解析し、[NAD+]の調節機序を明らかにすることを目的とする。
平成30年度までに、細胞の由来が異なっても[NAD+]は比較的一定に保たれること、NAD+合成の律速酵素Nampt酵素活性の高低に関わらずNAD+合成速度および[NAD+]は狭い範囲に保たれること、合成速度と分解速度はつり合うことを明らかにしている。さらにNampt の発現を強制的に増加させても、NAD+ 合成速度は比例して増加せず、分解速度も同程度に増加すること、結果として[NAD+]は顕著に増加しない、即ちNAD+合成と分解は緊密な連関があることを明らかにした。しかしこの連関のメカニズムは、PARP-1、 PARP-2、 SIRT1がNAD+分解酵素候補として提唱されてはいるものの、それらの関与が直接証明されていないため不明であった。
令和元年度は、遺伝子編集によりこれら酵素をもたない細胞を作成し、NAD+ 合成・分解速度、[NAD+]の階層でのトランスオミクス解析を行った。いずれの候補もNAD+分解に有意に関与せず、合成速度にも[NAD+]にも影響を与えないことが明らかとなった。今後のNAD+分解酵素の同定が、[NAD+]を増加させSIRTを活性化すること、従って加齢性疾患の予防および治療につながるものと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたNAD+ 合成の律速酵素であるNamptの発現量を強制的に増加させた細胞におけるNampt活性、NAD+ 合成・分解速度、[NAD+]の定量はすでに昨年度実施し、一定のデータを得ることができた。一方でNAD+分解酵素の活性は測定に至らず令和元年度に持ち越しとなっていた。当初、文献に従いNAD+分解酵素としてPARP-1を想定していたが、予想に反して、本酵素の発現をなくしたノックアウト細胞において野生型細胞と変わらないNAD+分解が生じることを初めて見出した。さらにPARP-2、SIRT1遺伝子ノックアウト細胞においてもNAD+分解が有意に低下しないことを見出し、これら酵素のNAD+分解への関与を否定した。

今後の研究の推進方策

令和2年度では、未知のNAD+分解酵素を同定する。続いて誘導発現系、RNA干渉法および遺伝子編集により本酵素の発現を段階的に増減させた細胞を作成し、そこでNAD+分解酵素活性、NAD+分解速度、細胞内NAD+ 濃度([NAD+])の相関を解析する。さらにNamptとNAD+分解酵素の発現を変動させた細胞において、SIRTの代表的な標的タンパク質であるPGC1αおよびヒストンのアセチル化レベルを測定し、これら酵素の発現レベルのSIRT酵素活性に及ぼす効果を解析する。

次年度使用額が生じた理由

(状況)
購入予定試薬が価格改定したため残額では購入できなかった。
(使用計画)
次年度経費に組込み、予定試薬を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 哺乳動物初代培養細胞におけるNAD+代謝の解析2019

    • 著者名/発表者名
      原 伸正、長子 晴美、日吉 峰麗、三浦 美樹子、土屋 美加子
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi