4種の飼料[通常飼料(MF),高コレステロール飼料(HC),高脂肪飼料(HF),高脂肪・高コレステロール飼料(HFC)]で10週間飼育したSDラットを用い,4群間の比較検討を行った。HC群とHFC群で脂肪肝が生じ,マッソントリクローム染色ではHFC群で肝臓の線維化が認められた。また,炎症と関連する血清PAF-AH(platelet-activating factor acetylhydrolase)活性は肝線維化が見られたHFC群でのみ有意に増加していた。このため,炎症や線維化に関連する蛋白のmRNA発現を詳細に調べた。Kupffer細胞の活性化指標であるTNFαやF4/80はコンロール群(MF群)に比べ脂肪肝が生じたHC群とHFC群でmRNA発現が増加していたが,HC群とHFC群では差がみられなかった。星細胞の活性化指標であるαSMAはHC群とHFC群でmRNA発現が増加していたが,HC群とHFC群では差がみられなかった。一方,線維化の指標である1型コラーゲン(COL1A1)とMMP2は肝線維化がみられたHFC群でのみmRNA発現が増加していた。TGFβとMMP9はHC群とHFC群でmRNA発現が増加していた。COL1A1のmRNA発現量は血清PAF-AHと有意な正の相関がみられた。 これらの結果から,非アルコール性脂肪肝炎モデルラットではPAF-AH活性の上昇が肝線維化の新たなバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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