研究課題/領域番号 |
18K11075
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
堤 理恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (80510172)
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研究分担者 |
堤 保夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90523499)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 味覚障害 / メダカ / 小型魚類 / 胃切除 / 抗がん剤 / T1R3 |
研究実績の概要 |
本年度、下記の項目の研究実績を得た。 1.胃における味覚受容体の変化:胃においてはC57Bl6マウスの噴門部、胃体部、幽門部にわけ受容体発現を確認した。特にT1R3 は噴門部に多く発現していることを確認した。胃切除モデルにおいては血中グレリン濃度が低下していることが確認された。一方、この時、舌の味覚受容体発現に変化はなかった。また舌神経系の味覚応答にも影響はなかった。 2.抗がん剤による味覚障害の影響:これまで影響を検討した5FUに加えてCDDPによっても味覚障害が発症し、うま味・甘味受容体T1R3遺伝子の減少のほか、塩味受容体Sccn遺伝子が増加することが明らかとなった。また休薬期間が短いと受容体発現はベース値まで戻らなかった。また、これらに対し、下流分子を確認したところ、T1R3はPLCbおよびCaイオンの変化を認めたが、Sccnはカルシウムイオンの変化のみ生じた。さらにこれに対してグルタミン酸ナトリウムのほか、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸などのうま味成分の効果を検討したところ、グルタミン酸とイノシン酸はT1R3応答を得たがグアニル酸は応答を示さなかった。 3.小型魚類実験系の確立:小型魚類としてOKCabを選択し、飼育水、餌、温度等の検討を行い産卵しやすい飼育系を再確立した。CrisperCas9システムにおいてT1R3受容体遺伝子KIとKOを行ったが生存率が低かったため、GFP発現などを確認したが、飼育に問題がなく、T1R3遺伝子喪失の影響が大きいと考えられた。そのため全身のT1R3遺伝子の発現を確認したがこれまでの報告と同樣であった。再度飼育条件を確認し、現在までにT1R3遺伝子発現がGFPで確認できるメダカの確立が完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3項目にわけ、並行して進めているが、いずれの項目も概ね順調に進展している。 1.胃における味覚受容体の変化では、胃においてC57Bl6マウスの噴門部、胃体部、幽門部にわけ受容体発現を確認した。特にT1R3 は噴門部に多く発現していることを確認した。胃切除モデルにおいては血中グレリン濃度が低下していることが確認された。一方、この時、舌の味覚受容体発現に変化はなかった。また舌神経系の味覚応答にも影響はなかった。 2.抗がん剤による味覚障害の影響ではこれまで影響を検討した5FUに加えてCDDPによっても味覚障害が発症し、うま味・甘味受容体T1R3遺伝子の減少のほか、塩味受容体Sccn遺伝子が増加することが明らかとなった。また休薬期間が短いと受容体発現はベース値まで戻らなかった。また、これらに対し、下流分子を確認したところ、T1R3はPLCbおよびCaイオンの変化を認めたが、Sccnはカルシウムイオンの変化のみ生じた。さらにこれに対してグルタミン酸ナトリウムのほか、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸などのうま味成分の効果を検討したところ、グルタミン酸とイノシン酸はT1R3応答を得たがグアニル酸は応答を示さなかった。 3.小型魚類実験系の確立では小型魚類としてOKCabを選択し、飼育水、餌、温度等の検討を行い産卵しやすい飼育系を再確立した。CrisperCas9システムにおいてT1R3受容体遺伝子KIとKOを行ったが生存率が低かったため、GFP発現などを確認したが、飼育に問題がなく、T1R3遺伝子喪失の影響が大きいと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
下記3項目での方策を立て今年度取り組むこととした。 1.胃における味覚受容体の変化では、脳における味覚応答の仕組みへの影響を明らかにする。延髄、大脳皮質それぞれの味覚応答と胃切除およびグレリンの影響を検討する。また、ホルモンを介さず、迷走神経が味覚受容に与える影響について検討する。 2.抗がん剤による味覚障害の影響では他の味覚受容体遺伝子についての検討を行うとともに、マウスを用いてその機序をより詳細に検討する。 3.小型魚類実験系では、薬剤、各食品成分への影響を検討する。
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