水溶性食物繊維(SDF:グアーガム)の予防的前投与で小腸粘膜を保護、消化管毒性を予防し、副作用の症状緩和による化学療法の認容性の向上が期待される。 5FU投与時の消化管粘膜障害のバイオマーカーとしての血漿DAO活性の有用性とSDFの前投与の消化管粘膜障害軽減効果を明らかにすることを目的とした。 ラットの尾静脈より4日間生理食塩水を投与するコントロール群、5FUを投与する5FU群、7日前から経口的にSDFを投与後5FUを投与、その後もSDFを投与する5FU+SDF群の3群で投与初日(10匹)、5日(10匹)、8日(5匹)に尾静脈より採血と小腸をサンプリングした。イソフルランの全身麻酔下で行われ、心臓切開で安楽死を行った。DAOは、Rat Diamine Oxidase ELISA Kitで測定を行い、小腸の光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。 5、8日の5FUおよび5FU+SDF群における血漿DAO活性の減少率は、対照群に比べて有意に高く5日では5FU+SDF群が5FU群よりも有意に少なかった(48.1%対63%;p=0.028)。8日に、5FU+SDF群と5FU群の血漿DAO活性減少率には有意差が認めなかった(56.1%対58.7%;p=0.686 )。小腸粘膜は組織学的には、5FU群では対照群と較べて、5、8日目とも炎症細胞浸潤が強く絨毛の萎縮を認めた。この変化は5FU群に比し5FU+SDF群で軽度であった。超微形態学的検討では、小腸粘膜の表面構造は5FU群で対照群と比し5、8日で不規則であったが5FU+SDF群では5FU 群に比べて保たれていた。 血漿DAO活性は急性期の小腸粘膜の損傷の減少を抑えるバイオマーカーとしては有用であった。これらよりSDFの前投与が、急性期の5FUの小腸粘膜障害を抑えることできることが示唆された。
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